突進する日本リニア対利便性なし、経済性なしと結論、計画中止させたドイツリニアの勝敗は?

第1部 巨大プロジェクトの盛衰

①ドイツリニア計画

リニア鉄道に取り組んだ国は日本とドイツだけである。
1987年エムスランドに常電動磁気浮上方式リニア鉄道実験線31,5キロが建設された。
ベンツ、シーメンス、ティッセン3大民間企業による共同体が主導した。
ベルリン:ハンブルグ間292キロにリニア新線を計画したのだ。(品川名古屋間とほぼ同距離)
閣議でも了解された。


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政府はこれを受け運輸省諮問委員会で調査審議させた。
委員会は慎重調査し確実な需要が見込まれないなどいくつかの懸念を表明した。
連邦議会でも、建設工事費、需要見込み、環境への影響、安全性、利便性など徹底的に議論され、6年後計画の中止を決定した。

経済性が確保されていない、技術的な信頼性が確保されていない、環境への破壊がないか不明などがドイツリニア計画失敗の3重要点だった。

ドイツの巨大計画に対する調査、評価、議論、政策決定の過程から多くの学ぶことがある。
技術的評価、経済、財政、環境などの分野まで踏み込む総合的評価を行ったこと、計画者側に責任ある需要見通しを義務つけたこと、計画途中の再評価を行い連邦議会がこれを尊重したことなどである。
技術大国ドイツでもリニア新線は必要ないと決定したのだ。

事故

2006年9月22日(日本時刻午後5時頃)、エムスランド実験線のラーテン駅近郊にて、試運転中のトランスラピッドが、時速200km/h前後と推定される速度で工事用車両と衝突、作業員2人と、トランスラピッドに乗車していた見学者らが巻き込まれ、うち23人が死亡、11人が重傷。
リニアモーターカーとしては初めて死傷者を出した大事故である。
原因は、人為的なものと推測されている。


②超音速機コンコルド

1969年英仏共同開発超音速機コンコルドは初の超音速飛行に成功した。
1976年客席数100名で定期航路に就航した。
世界の話題に。

しかし華々しいデビュー直後から悲惨な運命に襲われた。
各地の空港から異常に高い騒音の非難が殺到。受け入れが拒否された。
運賃は通常の3倍高かった。富豪や芸能人など一部の客層に限られた。
燃費に至っては通常の航空機の6倍という悪さだった。
従って就航以来赤字続きだった。

資金難に見舞われ機体改良に手が回らずついにドゴール空港での2000年大事故が発生。
2003年全面就航停止になった。
超音速時代は終焉した。
生産台数16機。

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確かに超音速は革新的技術だが、需要、安全、利便性、経済性、環境対応など総合的な信頼性、共存性がなければ市場から排除されるのだ。
厳然たる事実が示された。


③英仏海峡トンネル

1994年 ついに英仏海峡トンネルが開通した。
海底部分が38キロ総延長50キロのトンネル2本の工事は6年半かかり、工事費は当初計画の2倍約1兆6500億円に達した。


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国際列車ユーロスターが走った。開通させたのはユーロトンネル社。
英仏両国は一切財政支援、債務保証、赤字補填をしない確約を交わした。
1民間企業の事業だった。

融資企業は全世界220行。最も大きな債権金融機関は日本の38行だった。
そしてユーロトンネル社は破綻。
何故?
建設コストに大誤算があったこと、それにともなう資金計画の破綻にあった。
冷静な事前評価を怠った邦銀の審査能力不足が際立った一幕でもあった。

④中曽根行革の真実→東京湾横断道路は毎日1億円赤字を垂れ流している

1990年代半ば、内需拡大策として中曽根政権の目玉策が民間活力活用が打ち出された。
政権肝いりで経団連中心オールジャパン経済界の会社「東京湾横断道路株式会社」が設立された。
1989年、川崎:木更津間15キロが着工、97年12月供用開始された。
しかし開通後需要は計画の3割に留まった。
通行料当初4000円が現在800円。値下げしても客足がない。

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工事費は逆に当初見積もりを約25%上回った。1兆4500億円。
一日1億円の赤字を出し続ける惨状。
民間会社東京湾横断道路株式会社はなんと開通後運営責任を放棄し日本道路公団に買い取らせた。
建設メリットをしっかり民間企業は確保し、日本道路公団は巨額の損失を譲り受け、不良道路債権は国民の税金で尻拭いさせた恰好。

日本的政財官複合体が必要な道路と決めつけ着工、過大な需要想定を前提に建設が進められた。
これが中曽根行革の政治的策謀でなくなんであろう。
戦後最大の失敗国家プロジェクトと断言出来る。


第2部走り出す日本リニアプロジェクト

ⅰ、平成26年8月28日 朝日新聞5面 リニア 秋着工へ認可申請

JR東海は、26日品川名古屋間で2027年開業を目指すリニア中央新幹線について、工事実施計画の認可を国土交通大臣に申請した。
同社が全額負担する工事費は5兆5235億円。
午前6時の始発が品川を出ると86%トンネルを走る(飛ぶ)、40分後名古屋に到着する。

素晴らしい夢を実現させる工事の方も大変、南アルプスを25キロ間トンネルを掘るなど難工事が待ち構える。
一民間企業の事業であり、採算が合うことが前提。

しかし在来新幹線の収益が本プロジェクトの支えであり、将来在来の新幹線料金の値上げや税金による尻拭いも危惧されるスタート。

秋山慎副社長は記者会見で「コストダウンを進めてきた、健全経営の大前提に収まった数字」と工事実施計画の堅実性を強調し胸を張った。

ⅱ、集英社発行 橋山 禮治郎著 「リニア新幹線巨大プロジェクトの真実」203ページ

 橋山氏はリニア新幹線プロジェクトの真実を追究し国家100年の愚策と結論した。

①東京名古屋40分、東京大阪67分の必要性=移動の高速化、大幅時間短縮必要な人、ニーズは10%とのアンケート結果→多頻度需要は?

②既存鉄道とのネットワーク利便性=1時間に1本停車の中間駅に乗降客は度の程度? 相模駅以外はアクセスは極度に悪い立地

③工事費=名古屋まで5兆5235億円、大阪までは9兆円と世界に類を見ない高額投資となる→人口減、東京オリンピック,難工事など不確定要因多い?

④安全神話=△電磁波対策→被爆遮蔽の工夫、△無人遠隔操作で地下トンネル密閉空間を時速500キロで突っ走る→避難誘導は5キロごとの立坑から?

⑤経済性=4110億円収入見込むが一方在来新幹線は減収2800億円→東海道新幹線からの乗り換えに大きく依存する身内の奪い合い計画とは?
  2013年9月18日JR東海社山田佳臣社長公言「リニア新幹線は絶対ペイしない、東海道新幹線の収入で充足させる」

⑥環境への負荷=△電力消費は新幹線の5倍エネルギー必要  △南アルプス活断層への影響、景観破壊、騒音振動、地下トンネルによる水脈破壊?

⑦営業=新幹線レベルは各国でも導入可能性あるが超電動磁気浮上方式リニアレベルでは現在市場需要は皆無 
 競争に勝つには開発途上国ニーズは安全性であり経済性であり、高速性にはない。

◎東海道新幹線は適切な目的、適切な手段を用意し安全性、信頼性を確保し成功した国民的資産である。

世界で最初にして最後のリニア新線に対する評価は後世の歴史がどう評価するだろうか。
どのような終着駅が待っているのか?

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鉄道時代の夜明けに駅が出来ると大変と猛反対した地域が今衰退し、車社会の到来に道の駅など迷惑と猛反対した地域が今陳情して誘致に懸命…こうした新らしいものを現状維持派、既得権受益派は嫌う。
しかし人類は確実に新しい技術、手段、思想を開発し進歩してきている。
超伝導も核融合も再生医療も試さなければならない。人類の進歩発展に何かが寄与貢献するかもしれない。
次のコーナーはリニア導入でどう進歩するか展望して見る。

第3部  リニア中央新幹線のメリット


①名古屋昇竜

名古屋から東京までの300キロメートルがたったの40分に短縮される。
日本の主要都市の中で名古屋の優位性が上がることはもちろんだが、新たに首都圏の都市との競争にも参加することになる。
 東京駅から40分圏は、宇都宮、埼玉、横浜、千葉…そして名古屋も。
これらの中に入れば、名古屋は商圏、産業、文化に至るまで異質のまま、距離が遠いことが違いを生み、逆に首都圏の各都市との競争においてメリットになる。


②首都圏拡大 ⇒三大都市圏(東京・名古屋・大阪)が時間距離で同じ経済圏につながる

東京圏4000億円、大阪圏で2300億円、名古屋圏で1800億円の効果が見込まれる。

規模は約6,500万人(経済規模は世界第6位のフランス国と同等)

更に山梨・長野・静岡を含めた大交流リニア都市圏にも
こうなると人口規模約7,000万人(経済規模は世界第5位のイギリス国を上回る

移動時間の短縮で特に大都市圏の製造業やサービス業に恩恵がある。
東京ー名古屋ー大阪という大都市圏を一体化し、ひと続きのメガポリスを誕生させるとともに、日本列島全体の時間距離を短縮し、経済社会活動の効率性を高める効果があります。

また、広い地域を高速交通網に組み入れることができ、多様な拠点都市が誕生します。
移動時間の短縮は、人、モノ、情報の活発な交流を生み出し、快適な生活圏の創造とバランスのとれた国土づくりが可能となることでしょう。このようにリニア中央新幹線の実現により、世界でも稀に見る高度な都市機能と自然が調和した魅力的な経済都市圏が創出することが可能となる。


③国民の夢、期待感と動脈東海道新幹線バックアップ機能誕生

東海道新幹線は日本経済の象徴、その強力なバックアップ機能が誕生。しかも世界に類を見ない高度技術で!

バックアップとしての役割発展に欠くべからざるファクターが国民の「高揚感」
 団塊の世代の人なら、日本がある種の高揚感を持った瞬間を何度か体験しているはずだ。
例えば1964年の東京オリンピック。
これを契機に東海道新幹線が開通し、首都高速も出来た

リニア新幹線を支持する理由は簡単だ。
一つには、現状の東海道新幹線の輸送需要が高まる一方で、「供給」は限界に近づいていること。
JR東海も、より高速で走行することが可能な新型車両を導入したり、ダイヤ改正をしたりして頑張ってはいる。
だがそれは、しょせん(といっては失礼だが)対処療法であって根本治療ではない。
本当に輸送需要を賄うのなら、それこそリニア新幹線を新設するくらいの思い切った処置が必要だ

バックアップ効果とは

現行の新幹線と比較した際、リニアには次のような強みがあります。

•地震
o現在作られている超電導リニアは、現行の新幹線より地震に強い構造となっている。

•津波に強い
o東海道新幹線は海沿いを走っていますが、もし東海地震が発生した場合壊滅的な被害を受ける恐れがあります。
リニア中央新幹線は山側を走るので津波の影響はない。

•台風に強い
o台風に強いというより、現行の東海道新幹線が弱いといえるかもしれません。
台風では富士川の水位が上がるため、東海道新幹線は運転見合わせという事態が発生する。

•雪
o東海道新幹線最大の難所といえば関ヶ原。
このエリアは雪が多く、新幹線も度々徐行となったり最悪の場合止まったりします。
三重ルートはその点心配が少ない。


この国土の大動脈は、静岡県を中心に延長220kmに渡り「地震防災対策強化地域」を走り、一時的にでも止まることがあれば、日本の経済や産業に大きな打撃を与えます。
そのため、リニア中央新幹線は、東京と大阪を結ぶ東海道新幹線の代替的なバイパスとしての役割が期待されています。



ブログ発信 社会保障・安全衛生コンシェルジェ 特定社会保険労務士 金丸亜紀雄



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