津波襲来と避難誘導と職場の安全管理の在り方⇒災害後復興に一番重要なのは人材であるのに惜しまれる命2つ

津波が来ます、逃げてください! 津波避難誘導の広報業務を最後まで果たし犠牲となった2名の地方公務員…業務命令と安全について、時と場合を考え特に緊急危機時にはまず安全を優先すると考えるべきでなかったか…


地方公務員25歳女性職員の避難誘導ケース

とき…平成23年3月11日金曜日午後2時46分。
場所…宮城県南三陸町危機管理課。
事実…地震発生と同時に津波警報発令。

直後

職務…危機管理課職員 遠藤未希さん25歳は、津波警報発令により、担当業務の「速やかな避難を住民に呼びかける」べく町庁舎に隣接する防災対策庁舎において直ちに無線広報に取り組んだ。

広報無線…「6m強の津波があります。早く逃げてください」彼女は何回も無線を流した。
30分後
…放送された6m強の2倍以上はある巨大な津波=海襲=が町を飲み込んだ。

4トントラックが時速40kmで激突する威力の津波が防災対策庁舎を襲った。
巨大津波=海襲=が去った後、庁舎は骨組みだけが残った。
防災対策庁舎は海岸から60mほどに立地していた。
海岸から3,000m以上離れていた工場さえ跡形もなくなっていた。

今も遠藤未希さんは行方不明である。
彼女の警報を聞きながら多くの方が必死に逃げ、生き延びることが出来た。
町庁舎屋上の鉄塔にしがみついていた10人の町職員は助かった。

母親の遠藤美恵子さんは「娘は最後まで声を振り絞ったと思う」と避難先で語った。
そばで「娘さんの声がずっと聞こえていたよ」と遠藤さんの手を握る近所の方もいた。

南三陸町防災対策庁舎

防災対策庁舎は、1960年のチリ地震津波の被害を教訓にした鉄筋コンクリート3階建て。
災害時には、救助や被災者支援、復興計画の拠点となる施設で、町職員たちも
「堅固な防災対策をとった庁舎なら大丈夫」と思っていた。

発生当時約40人が庁舎内におり、このうち約30人が屋上に避難した。
ところが、津波は3階屋上をも包み込んだ。町長によると津波の高さは約13メートル。
屋上の金網に必死ですがりついた町職員も、金網と一緒に次々とのみこまれた。

津波は何度も何度も、執拗(しつよう)に襲ってきた。
第一波ではじき飛ばされて偶然、 屋上に出る階段の鉄製手すりにつかまることができた佐藤町長らは、近くに設置されていたアンテナによじ登り、身を守った。

妻を残した家が押しつぶされるのを目の当たりにした町幹部が屋上で男泣きに泣く姿を見て、誰もが胸を締め付けられた。屋上に避難した約30人のうち、生存が確認できたのは10人だけ。
町内には「壊滅」した集落も複数あり、町職員のほか、町議にも生存が確認できない人もいる。



地方公務員男性職員31歳の避難誘導ケース

とき…平成23年3月11日金曜日午後2時46分。
場所…宮城県岩沼市税務課。
事実…地震発生と同時に津波警報発令。

直後

職務…税務課職員 多田祐一さん31歳は、津波警報発令により、担当している津波避難誘導広報業務に基づき速やかな避難を住民に呼びかけるべく他の職員と公用車2台に分乗し約2キロ離れた沿岸地域に向った。

広報車スピーカーで多田さんは「津波警報が出ています。避難して下さい」と発声続けた。

程なく10mをはるかに超える巨大な津波=海襲=海そのものが襲来した。

避難誘導中の税務課の2台の公用車のうち1台は迫り来る津波に追いかけられながらからくも逃れきった。

多田さんの乗った公用車は消息を絶った。

7日後、多田さんは遺体で発見された…
遺体安置所で親族を探す避難者から「多田さんのおにいちゃんが避難を呼びかけてくれたから我々は助かった」という話が両親の耳に入った。
同僚からは「ムードメーカーで正義感に富み若手のリーダーだった、仕事をまっとうし過ぎた」と涙の声が聞こえた。


地方自治体による津波対策訓練事例

相模湾津波対策訓練  相模湾沿岸15市町村:県:防災事務連絡協議会参加

13:55分 伊豆大島沖震源地M7,9地震発生:14:00津波警報発令

14:01  
津波警報広報発動=広報無線サイレンによる=消防
監視班=江ノ島灯台カメラにて洋上監視、逃げ遅れ者確認=総務部
避難誘導班=徒歩班、車両班それぞれ避難誘導を開始する=海水浴場営業組合、消防、市、観光協会等

14:10 最大波到達
救助班=洋上におぼれる遭難者救助 …ライフガード、漁船、海上保安庁;自衛隊、赤十字等

津波警報広報と自治体職員の業務配置について…安全性を優先すべきである…

津波は荒れ狂った海が襲って来るものである。波が来るものではない。
住民に早急な避難を周知するのは安全な町づくりを使命とする地方自治体の本来業務である。

しかしそれは普段日常の周知活動に尽きるのであり、発生し非常に危険が予測される緊急事態時には日常の周知広報活動どころでなく、職員の命の安全を優先すべきである

緊急時の避難誘導は肉声ではなく「録音されたアナウンス」「津波非難誘導サイレン」等にて行うべきものである。

目の前に津波が押し寄せるまで防災対策庁舎に女性職員を配置させ広報業務に従事させたことは危険なことが分かっているのに従事させたことでもある。


危険な業務への従事命令は禁止される
予見可能性があるかどうか、
すなわち、その出来事を事前に予測できたと言えるかどうかが争点になる場合があります見可能性とは、危険性があることを知っていたにもかかわらず対策をとらなかったとか、危険性を知り得る立場にあったのに怠慢から危険性について知らなかったため対策がとられなかったなどいった違法性を指しています


今回地方自治マンとして憲法13条にまとづく公務員としての使命感を全うした2名の地方公務員に対してあらためて敬意を表しご冥福をお祈りしたします。
そして津波=海襲=の恐ろしさを認識し直し、津波対策;訓練においてもあらためての見直しを提案する。

まずは逃げることである。
大切な命を保全し、それから地方公務員として使命感に燃え心震えながらやるべきことは大震災後には山ほど山ほどあったのに。
遠藤さんも多田さんもその本来業務にさぞ従事したかったろうに。
本当に惜しい人材を失ってしまった。




制作発信 社会保障・安全衛生コンシェルジェ 特定社会保険労務士 金丸亜紀雄


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