゛老後の安心゛を張り倒した両横綱坂本芳信と淺川和彦…厚生年金基金誕生の真実と危なさ

厚生年金基金の資産を食いものにした詐欺行為で裁かれる東の正横綱淺川和彦運用会社AIJ社長については、当ブログ  本年9月23日号で詳細を発信したが、今場所は西の正横綱長野県建設業厚生年金基金坂本芳信元事務長が土俵上に姿を現したので取上げることにした。
永森秀和著 「年金詐欺」をあらためて読んだ。

初日  連続事件発生

…長野県建設業厚生年金基金の〆て140億円のプレゼント事件全貌

第一の事件 坂本芳信元事務長による24億円業務上横領事件
第二の事件 AIJへの運用委託65億円消失事件
第三の事件 未公開株投資50億円消失事件


長野県建設業厚生年金基金連続資産消失事件に見る厚生年金基金の異変が起る土壌を分析すると、長野だけではなくどこの厚生年金基金も同じ土壌:構成であり、なるほど各地で同様事件が頻発し始めている。

長野県厚生年金基金ではコスト削減を優先し、基金事務局組織のお目付け役常務理事を置かなかった。
それが巨大な損失を生んだ。

通常基金の理事長は地元中小企業の経営者がなる。
多忙で、年金知識もない。
従って厚生労働省OB天下りの常務理事が一応、統括お目付け役となる。
しかし長野県建設業厚生年金基金では常務理事も置かずにすましていた。

社会保険事務所職員OBの坂本芳信を事務長に採用、彼に全てを任せた。
労働者の血と汗と涙の結晶である貴重な基金の資産は坂本の胸三寸となった。
坂本は理事会など無視し独断で未公開株投資を始めた。
公印も無断で持ち出し契約を結んだ。
会員企業から集めた掛け金の経理処理は坂本一人に任されていた。
貴重な老後の安心資産は口座から自由に引き出されていた。


高級車を購入、自宅から職場にもタクシー、職場から歩いてわずか10分の駅までもタクシー、東京の都心高級ホテルを長期宿泊契約し愛人を囲う、銀座のクラブで豪遊、六本木にかかりつけ医師を置き頻繁にエイズ検査を受け、この医師の経営する事業に投資、地元でも都心でもその筋では「怪しい年金職員」として悪名高く有名だった。

知らなかったのは200億円もの多額の資産を預けた長野県下の建設業経営者と労働者と基金理事等関係者だけだった。
余りにルーズな厚生年金基金組織ではなかったか。
事件発覚後理事長は辞任したという。
「過信し、気づかなかった」
預金通帳は何度も見直すけれど、もっともっと大切な年金保険料の行方には全くお上任せの県民性いや国民性がここでも怪しい年金職員やあやしい運営管理者をのさばらしたのだ。


二日目  厚生年金基金組織

代議員会→理事会→資産運用委員会→信託銀行:生保:投資顧問→ファンド業者→投資先

理事長始め各理事達も年金や投資の知識:情報量の差は事務局側に対し圧倒的に劣勢だ。
高度に専門化したオルタナティブ投資などなおさらだった。
結果、現場以外のメンバーはオブザーバーにしか過ぎなかった。
会議はシャンシャン。

加入企業の介入を抑えるため、企業年金の法規程でも年金事務局を独立した法人とさせ企業との距離を置いた。
加入企業と基金との分断が裏目に出た。
坂本芳信の独り舞台装置はこうして整ったのであった。

総合型基金には通常、旧社会保険庁OBが天下り常務理事に就いた。
運用委託先や委託額の検討はほとんどの基金で常務理事一人に任されている。


AIJ事件後、仲間の常務理事の置かれた立場について、「AIJ事件はある意味振り込め詐欺に似ています。
年配で、どちらかと言えば人の好い、業務上孤独な立場の=常務理事=が狙われたんです」とある総合型年金基金幹部は語った。

厚生年金基金の常務理事はキャリアパスの途上で基金に天下る。
基金の周囲は、母体企業業界出身者や生え抜きの職員ばかりで、居場所がなくいたたまれないことも多く、孤独を感じることが少なくなかった。
ここにAIJの巧妙な接待攻勢がかかればひとたまりもなかった。

天下り常務理事の横のつながりも強く深かった。
基金役職員は地域別に協議会や部会を持ち、会合を活発に開くなど、関連情報を交換し、専門性高い業務運営に生かしてきた。
AIJ事件に巻き込まれた常務理事はおおむねこうした会合でも発言が少なく控えめな方が多かったと言う。
厚生省はこうした個別基金の横断的な組織である厚生年金基金連合会に、主要キャリア組を次々に送り込んだ。
基金運用の舵取りに精出した。



三日目 坂本事務長による未公開株投資顛末

2004年、長野県建設業厚生年金基金は未公開株投資を始めた。
約70億円投資。
対象のほとんどは上場見込みはなかった。
なかば死体のまま10年。
基金から信託銀行、投資顧問会社に委託。
そこからファンド業者に委託された。

2011年9月、年金情報誌はこのファンドはじめ長野県建設業厚生年金基金が委託する複数の運用会社の不透明な未公開株投資について報道した。
この記事に対し長野県建設業厚生年金基金からは無反応だった。
基金は、ファンド業者から「資金を引き上げればかえって企業が窮地に陥る」との言葉を受け、委託を継続させたのだった。


金融庁はこのファンドを虚偽運用報告などの理由で警告した。
基金から委託された信託銀行、投資顧問会社を注意義務違反で行政処分した。
運用会社に対しファンド管理不適切さを理由に一部業務停止命令を下した。

長野県建設業厚生年金基金の未公開株投資に携わった運用関係者はほぼ全てクロと判定された。
しかし肝心の基金内部の監査も、厚生局監査も「問題なし」と素通りだった。
金融庁の動きに連動し捜査当局も2012年10月16日、港区内のファンド業者を家宅捜査。
ようやく基金は未公開株を現金化することとなった。


2010年9月、厚生労働省の特別監査の最中にタイに逃げたことは捜査当局も把握していた。
2011年1月末、ついに行方不明の坂本は指名手配された。

四日目  海外逃亡3年 横領容疑の元厚生年金基金事務長 身柄拘束

平成25年11月8日 朝日新聞37面  24億円不明 逮捕へ

長野県建設業厚生年金基金で3年前、24億円が行方不明になった事件に絡み、約6,400万円の業務上横領容疑で指名手配されていた坂本芳信元事務長(55)が潜伏先のバンコクでタイ当局に身柄を拘束された。
長野県警は日本への移送手続きを進め、来週にも逮捕し、事件の全容解明を図る。
2005年頃からタイに通いはじめ、30回位入国、複数のタイ人女性と親しかった。
高級マンションで暮らし、リゾート地ホアヒンの高級ホテルにも頻繁に訪れていた。
長野県建設業厚生年金基金では、200億円以上の会員企業から集めた掛け金の処理を坂本芳信元事務長一人に任せていた。
この立場を利用し、掛け金を引き出し一部だけ運用に回す手口を5年程繰り返した疑いがある。

五日目  厚生年金基金誕生の真実

第一の真実…

日本経済新聞 2012年3月19日  企業への飴玉だった基金の代行制度


「公的年金を手厚くする政策を実現するための取引材料として厚生年金基金を誕生させた」当時の厚生省年金局長が語った。
公的年金給付を充実させるための保険料負担増に経済界が強く反発した。

それをなだめるため、飴球として、公的年金の一部を代行する厚生年金基金制度が考え出された。
当時の市場は好調で運用利回りは8%前後、公的年金の想定利回り5,5%を大きく上回っていた。
代行運用だけで、労使の負担なしで上乗せ年金を確保出来た。
中小企業も業界単位で総合型基金をこぞって設立した。
裏で作戦を進めたのが、運用を受託したい信託銀行が地方の業界団体に強く上手く基金設立を働き掛けた。

第二の真実

霞ヶ関官僚の天下り先確保が基金だった


2012.3.28 産経新聞

厚生年金基金への天下り721人 半数以上は旧社保庁OB 資産運用9割が「素人」


 「AIJ投資顧問」(東京都中央区)による年金資産消失問題を受け、全国の厚生年金基金の実態を調べている厚生労働省の特別対策本部は28日、今月1日時点で基金に天下りしている国家公務員OBが721人おり、半数以上が旧社会保険庁の出身者だったとする調査結果を公表した。

基金で資産運用に携わる役職員の約9割が、就任前に資産運用業務の経験がなかったことも判明。
専門知識がないまま資産運用が行われていた実態が浮かんだ。

 厚労省によると、今月1日時点で現存する厚生年金基金は581で、23日までに役員の天下りは579基金が回答した。
全体の6割を超える366基金に国家公務員OBが役員として在籍し、うち359基金に厚労省・旧社保庁OBがいた。
職員については230基金に国家公務員OBが天下っていた。


 天下った721人のうち689人が厚労省・旧社保庁OBだった。
役職別にみると、役員が405人、職員が316人で、役員になっている旧社保庁OBは368人、厚労省OBも15人いた。

 運用に携わる役職員については、92・3%が証券アナリストやファイナンシャルプランナーなど資産運用関連の資格を「もっていない」と回答。
88・4%は、資産運用関連業務の経験がなかった。また、運用について分析や助言を行う外部の運用コンサルタントを採用していたのは150基金と約3割にとどまった。


厚生年金基金「廃止」進まず 居座る天下り理事( (東京新聞)

自分たちの天下り先確保のために作った基金をやめる訳がない…


 AIJ事件をきっかけに、全国の厚生年金基金の多くで財務が著しく悪化していることが明るみに出た。
損失の拡大を防ぐため、基金廃止の方向で議論が進んでいたが、自民党政権になってその流れも止まった。
旧社会保険庁(現・日本年金機構)からの天下りが横行している実態もそのままだ。
改善に向けた動きが見えてこない。 (東京新聞小坂井文彦記者)


 「不景気で資金運用のマイナスが続き、基金の年金給付の5%減額が決まった。
旧社保庁から天下ってきた専務理事が運用を担当しているが、責任を取らずに居座っている」

 先月、「こちら特報部」に、東京都内に本部のある厚生年金基金の受給者という男性からこんな電話がかかってきた。

 この基金では、ここ10年のうち運用のプラスは2年だけで、8年は運用失敗で資産を減らした。
加入員は減り、年間の掛け金収入は十年前と比べて約21億円も減少。
正常運営に必要な基金から390億円が不足しているという。

 昨年11月、年間9万円前後を減額する年金給付の5%引き下げが決まった。
引き下げには、加入員の3分の2以上と労働組合の同意が必要となる。
この男性は「引き下げないと、基金はいずれ解散するしかなくなる。仕方ない」と合意した。
最終的に3分の2以上の同意は得られたという。

 男性は、「基金の理事が責任を取るべきだ」と事務局に訴えたが、何の音沙汰もないという。
この基金では、理事はトップの理事長を含めて40人いる。

常勤で運用の執行を担当する専務理事は一人で、代々、旧社保庁などからの天下りの元官僚が就任してきた。
 

基金の総務部長は取材に、「運用失敗の責任があれば、理事会や代議員会で議論することになるが、責任問題は議題に上っていない」と話した。

 
そもそも基金の理事とはどんな存在なのか。
厚生年金保険法は、理事を代議員の中から選ぶと定めている。
代議員は2種類ある。
加入員による選挙で選ばれる互選代議員と、基金に加盟する設立事業所(企業)のトップである事業主(社長)の中から選ぶ選定代議員だ。
 

選定代議員は選挙ではなく、事業主同士が話し合いで決めてよいことになっている。
本業が忙しい場合、事業主が代理人に選定代議員を任せる規定もある。

この規定を利用し、専務理事は代理人として選定代議員になり、選定代議員同士の選挙で理事に就いた。
理事はみな本業があって専従ができないため、専務理事には天下りの元官僚が就くことが了承されている。
つまり、選ぶというのは、名ばかりで、うちうちで決めているのだ。

 この基金の代議員と理事の任期は2年。専務理事は2005年以降、3回の改選があったが理事で居続けている。
現在、68歳だが、定年はないので、事業主から選定代議員に選ばれれば、いつまでも理事でいられるという。

  事業主が天下りを容認しても、加入員側の互選代議員から選ばれる理事が反対の声を上げれば天下りはなくなりそうだが、そんな声は聞こえてこない。

 代議員は無報酬で、仕事のある社員クラスが立候補することは少ない。
この基金では、互選代議員にも事業主や役員クラスが加入員の立場で就いている。
過去2回の選挙では、定員と同数の立候補しかなく無投票で互選代議員は決まった。
加入員の意見を反映させるための制度は、完全に形骸化している。
 
「こちら特報部」に電話をしてきた男性は「現役で働いているうちは代議員のことを詳しく知らなかった。
退職後、時間のある今こそ、代議員になりたいが受給者はなれない」と悔しがる。

 天下りは理事だけでなく、職員にもいる。
仕組みはこうだ。
天下りの理事が高齢で辞めると、職員だった天下りが理事に昇格する。
新規の職員採用は公募するよう厚労省から指導されているが、採用を決めるのは天下りの理事なので、事実上、天下りが採用される流れは途切れない。
 
 旧大蔵省の元官僚で、厚生年金基金の問題に詳しい嘉悦大学の高橋洋一教授は「天下りのために役人が考え出した制度を厚労省がやめるわけがない」と指摘する。 

基金の制度は1966年にできた。
当時は高度経済成長期で、運用利回りは良く、基金側にもうまみはあった。
 高橋氏は証券局の業務課長補佐だった88年、基金の資金運用先に投資顧問を加える制度改正に携わった。

その際、旧厚生省の官僚が口にした言葉を覚えている。
「そのうち、私たちも大蔵省のように銀行や証券会社から接待を受けられるようになる」。
バブル経済まっさかりで、大蔵官僚が料亭などで接待漬けになっていた時代だ。


第3の真実

更に政治の世界も基金を利用した。
1997年 基金の資産配分規制が撤廃された。
株価対策からである。
年金→基金→株→景気→企業・国民→票という点が繋がり動き出した。
金融や運用業界の関係者が同連合会に頻繁に出入りした。

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