戦後日本安定の基盤は紛れもなく生活保護制度の恩恵…国家混乱の原因:革命の源「民衆の貧困」のない日本

貧困を考える

OECDによれば2005年5月時点で、日本の貧困率は加盟国中第5位、先進工業国中第2位となった。
年間自殺者3万人が連続久しい。これは世界第4位。全て不名誉な記録である。


貧困とはその国の普通の暮らしを大きく下回る暮らしとOECDでは貧困を定義しています。
先進諸国は、この意味の貧困をずっと問い続けてきましたが、我国では高度成長に酔いしれ
貧困はタブー視され歴史の彼方に置き忘れて来ていました。

しかしリッチなグルメ番組横行の陰で、まじめな大学生の不安は、自分は将来普通の暮らしを送れるだろうかであると言われています。


生活保護制度と隠された貧困

英国における生活保護率は、24.7%です。日本の保護率は2.2%です。日本の10倍、貧困者がそれだけ英国は我国に比し多いのでしょうか。そうではありません。先ほどのOECD調査では日本の貧困率は15.3%と発表されています。
実はこの15.3対2.2こそ、活保護制度がうまく機能しなくなったと指摘されている現象です。

50軒に1軒の日本の保護受給者は誠に目立たない、近所から孤立した存在となっています。しかし英国では4軒に1軒、普通の近所仲間です。
反対に生活保護基準3人世帯では66,000円、単身81、000円ですが、多くの大学生やフリター達はこれ以下でやっている。長く掛け続けてきた国民年金の老齢基礎年金は満額でもこれ以下です。これらの方々は人間らしく普通に暮らしていくレベル以下とは思ったことすらありません。

貧困のもたらす社会的損失

①自殺者がそうしないで生きていて労働したりして収入を得た想定額は15兆円と見られています。(慶応大学唐鎌直義教授)
②長期失業者、ホームレス等が働き納めた社会保険料、税金額それは莫大な逸失利益です。
③貧困の放置がもたらす犯罪の激増。高年齢者の犯罪が11%まで高まってもいる。

こうした背景を見れば、貧困を直視しなければならない理由がお分かりでしょう。
日本国憲法第13条、25条には国民の一人ひとりが幸せを追求する権利と文化的で最低限度の生活を送る権利が保障され、国はそれらの理念が実現するよう社会保障、社会福祉等必要な法的措置をしなけれならないと定められています。内閣、国会議員、裁判官、公務員はこの憲法を遵守するよう第99条に定めています。


日本の社会保障

4つの機能   防貧 社会的平等 経済安定:経済基盤整備  

①公的扶助  
 生活保護
 災害扶助等
②社会保険 
 1、医療保険   2、年金保険 
 3、雇用保険  4、労災保険  5、介護保険
③公衆衛生
 結核、伝染病等予防対策
④社会福祉 
 児童・老人・障害者福祉等


社会保障法体系図の最初にあるのが生活保護制度だが、これは実は最後の砦。
他方優先で全ての制度を当てはめそれでもだめな場合、不足する部分を生活保護制度が守るのである。
いったん保護になると税はかからない。医療費も無料となる。国家が生活を保障するから一番確かである。
母子家庭がなかなか自立しないが、あるケースの話では、へたな男を頼って自立するのと、国家が保障する制度を頼るのとの大きな違いに、いくらのんきな母親でも気がつくとのこと。
ケースワーカーが月1回とか3月に1回とかケースランクにより訪問し色々生活状況など尋ねられるし、どうしても周囲に気兼ねする部分もあると言うが、しかしそれを我慢さえし、しっかり生活を送れば一定の安定が間違いなく確保される。自立の目標も若い家庭なら見えてくる。
他の社会保障制度もあるが、確かに最後の砦として最強の砦でもあった。

多くの国の歴史の中で革命は何故発生したか、それは悲惨な民衆を覆う貧困を見かねて立ち上がった経過が圧倒的である。
戦後日本の政治経済が諸外国に比し超安定してきたが、その要因の一つが間違いなく生活保護制度が最後の砦を構築し、悲惨な貧困が国民の目に晒されていないことである。これでは革命など起きるわけがなかった。


救貧の歴史

エリザベス救貧法

16世紀に入って英国において、大衆の窮乏化と浮浪者の増加がさらに深刻になったため、救貧政策へ変更された。
はじめの救貧立法の集大成が、1601年のエリザベス救貧法である。

内容は、労働能力のある貧民を強制的に労働させること、違反者への処罰、救貧税の徴収などである。
法制定の社会的背景としては、修道院の解散、土地囲い込み運動や凶作による貧民の増大があった。
その実態は、労働力のない貧民に 対する扶助、児童に対する徒弟としての就労の強制等の方策により、貧民を抑圧的に管理することにより社会秩序の維持を目指すものでした。

イギリス絶対王政期、エイリザベス1世の統治化のもとで、1601年 に集大成された貧民の救済等を目的とした立法のこと。
また、1834年にイギリス議会が、16世紀以来のエリザベス救貧法を大改正し成立させた立法を新救貧法といい、その思想的根拠はマルサスの理論に置かれている。

エリザベス1世救貧行政は各地方が個別に行っていたが、手に余る教区・都市も出始めていた。
そこで1601年、エリザベス救貧法として知られる救貧法改正がなされた。
この制度は17世紀を通じて救貧行政の基本となり、近代社会福祉制度の出発点とされている。その骨子は以下のようになっていた。

枢密院(Privy Council、中央行政機関)
┗治安判事(justice of the peace、地方行政を司る。無給の名誉職)
┗救貧監督官(overseers of the poor、2-4名。無給の名誉職で救貧の実務官)
監督官は救貧税を徴収し、税は以下の費用に割り振られた。

労働不能貧民の救済費
強制労働させる懲治院の維持費
徒弟に出す子どもの養育費

エリザベス救貧法の特徴は、国家単位での救貧行政という点にあった。エリザベス以前の救貧行政は各地の裁量に委ねられていたが、この改正によって救貧行政は国家の管轄となった。以降、救貧は中央集権化を強めていった。イングランド内戦がおこると一時的に機能麻痺に陥ったが、1662年の小規模の改正によって立て直された。


日本の貧窮対策の歴史


恤救(じゅつきゅう)規則 1874年
労働能力がなく、極貧で扶養者のない人に、50日以内に限りわずかな現金を給付しました
対象限定、内容劣悪、でもお米が70歳以上に配ばられた。
背景
1868年の明治維新前後から、多くの国民の経済状況は大変苦しいものでした。そのために社会不安が高まり、各地で農民一揆が多発していました。これを受けて、明治維新の直後に政府は救貧対策として恤救(じゅつきゅう)規則( )を発布しました。しかしこの恤救規則は古い封建的な救済思想に基づいたもので、弱者に対して上の立場の者からの恩恵として、施しとしての性質のものであったため、救済される国民の対象はごく一部に限られ、かつ給付水準も低いものでした


救護法(昭和4年法律第39号)

第一条 左ニ掲グル者貧困ノ為生活スルコト能ハザルトキハ本法ニ依リ之ヲ救護ス
 一 六十五歳以上ノ老衰者
 二 十三歳以下ノ幼者
 三 妊産婦
 四 不具廃疾、疾病、傷痍其ノ他精神又ハ身体ノ障碍ニ因リ労務ヲ行フニ故障アル者


日本の社会保障は、第二次世界大戦前にドイツのビスマルクの社会政策の制度にならい作られた。
日本で最初の社会保険は、1927年に施行された健康保険法である。
また、農村に対する救済策として1938年に国民健康保険法が制定された。
1941年には、労働者を対象とした労働者年金保険法が創設され、その後、対象を職員や女子にも拡大する形で1944年には、厚生年金保険法が制定された。

生活保護法 1950年(昭和25年)施行
この年には社会保障審議会において、全ての国民が文化的社会の成員たるに値する生活が営むことが出来るよう「人間らしく生活」を送れるよう社会保障を定義した。
困窮の原因を病気、負傷、障害、死亡、多産、高齢、失業、分娩とした。

被用者保険や被用者年金に加入していない自営業者や農業従事者等に加入を義務づける新しい国民健康保険法や国民年金法が制定された。1961年4月、国民健康保険事業が全国の市町村で始められ、国民年金法が全面施行され、国民皆保険・皆年金が確立された。

福祉元年
高度経済成長の中で、医療保険の給付率の改善、年金水準の引き上げ、生活保護基準の引き上げ等、社会保障分野での制度の充実・給付改善が行われた。1973年には、老人医療費無料制度の創設(70歳以上の高齢者の自己負担無料化)、健康保険の被扶養者の給付率の引き上げ、高額療養費制度の導入、年金の給付水準の大幅な引き上げ、物価スライド・賃金スライドの導入など大幅な制度拡充が行われ、福祉元年と呼ばれた。


憲法25条での国民の生存権と国の社会保障増進義務明記
現政府における、「自立自助」と国民に負担を押し付け、国の責任を放棄するのはまさに救貧法時代に歴史の針を押し戻そうとするものではないでしょうか。
今、生活保護法の実態が危機を迎えているとも言われている。英国に比し10倍も少ない隠れた貧困が存在する状況下でもあるのに。社会保障はどこに行こうとしているのか。




制作発信 社会保障・安全衛生コンシェルジェ 特定社会保険労務士 金丸亜紀雄



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