天罰フルキャスト……派遣業も創生期には志があったのに

平成19年8月4日 朝日新聞1面、35面  フルキャスト 事業停止1カ月 厚労省命令

人材派遣業大手に法令違反が続いている。グットウイル(港区での賃金天引き事案)、コラボレート(兵庫県事案で1カ月停止命令)、そして今回のフルキャスト。

改正労働者派遣法では港湾運送業務、建設業務、警備業務、紹介予定派遣以外の医療関連業務については、従来通り労働者派遣事業を行なうことは禁じている。
にもかかわらず神戸市内の3支店で港のコンテナ内ペットボトル荷さばき作業をさせたもの。

労働者派遣の禁止業務(下記の業務に対して労働者派遣を行なうことは出来ない。)
 1.建設作業を行なう業務
 2.港湾運送作業を行なう業務
 3.警備作業を行なう業務
 4.医療関連業務(但し、一定の社会福祉施設に対しては派遣可能)
 5.弁護士・公認会計士・建築士など士業の業務
 6.労使間の団体交渉や協議において使用者側の当事者として行なう業務
 7.公衆衛生又は公衆道徳上で有害な業務

フルキャストは今年3月、同法で禁止されている建設業務などに労働者を派遣したとして、東京労働局から事業改善命令を受けていた。その後も違法な派遣を繰り返していることが分かり、厚労省は悪質と判断。厳しい処分に踏み切ることを決めた。同社311事業所の事業が1カ月停止される。

 同社に対しては、神奈川労働局が昨年8月、神奈川県内の支店が建設業務に労働者を派遣したとして是正指導を行っている。今年1月には宮城県警が、同様に労働者派遣法で禁じられている警備業務に派遣した疑いで仙台支店などを家宅捜索も受けていた。繰り返しという最悪質の事例である。

本ブログ7月30日に労働基準監督官による査察と司法処分を発信したばかりである。
是正勧告を受けてなお事業主に改善の意思がみられないとき、重大な事故が発生したとき、悪質な違反があるときは、最も重い司法処分が下される事案もあると説明したが、こんなに早く具体例が起きるとは開いた口も塞がらない。しかも処分経過が判明するにつけこのような会社、業界なのかと残念でならない。


業界の体質か特異な例か
日雇い派遣労働者の給与からの「データ装備費」天引きが問題となっている日雇い派遣最大手「グッドウィル」(東京都港区)が、 派遣労働者に同社のロゴ入りポロシャツやトレーナーなどを半ば強制的に買わせていることが複数の元支店長の証言などで分かった。
支店には備品の販売ノルマを課され、「備品の着用が仕事紹介の条件」などと言って販売していたという。 同社では、データ装備費の徴収もノルマ化されていたことが既に明らかになっている。
関東地方の元男性支店長(35)によると、
備品には▽Tシャツ(500円)▽トレーナー(1000円)▽軍手(300円)▽カッター(200円)--などがあるという。
元支店長は 、「月々、新規登録者1人につき700円の販売ノルマがあった。達成できないと、上からきつくしかられた」 とノルマによる厳しい締め付けを証言する。

この業界でなぜ法令違反が続出しているのか。業界の現状を見てみよう 
                                 人材ビジネスホームページ参考

1986 労働者派遣法施行 派遣ビジネス公認  以後のこの業界の繁栄は語るまでもない
最新状況
派遣労働者数 約 255万人 (対前年比 12.4%増)
●派遣先件数 約 66万件 (対前年比 32.7%増)
●派遣事業所数 14,688所 (対前年比 58.4%増)
  注)一般労働者派遣事業所で報告書を提出した数
●年間売上高 約4兆351億円 (対前年比 41.0%増)

あまりの需要の多さに人材派遣業界は・・・・・
「人手不足で供給が追いつかない」状態
 
課題
1.人材不足による人材獲得コスト
2.求人媒体の多様化により人が集まりにくくなっている
3.スキルの高い“いい人”が集まらない


以上であるそうだが、人材不足を言う前に経営者云々が最初でしょうと言いたい。
4、追加:資質の高い経営者が時代の要請:これに応えていない。

果たして人材を派遣するという高邁な使命を帯びたこの事業の根本はどういうものなのか。
絶対是正勧告に従わないレベルでない、崇高なミッションに燃えた時代もあるはずと思い調べてみた。

労働者派遣業創世期を省みる
                    人材ビジネス社、社長の本音コラムより
1986年(昭和61年)労働者派遣法が施行された。
この法律施行前は人材派遣業は当局「未公認」のアングラ事業であったのです。
それまでの日本の労働法体系は雇用者-被雇用者の2者を前提としており、ここに派遣元が入る「三角関係」は想定しておらず、1966年に日本で始めてマンパワージャパンが派遣事業を開始して以降、一貫してこの事業に対して法的側面から疑義が呈されてきました。

法律で禁じる搾取に当たらないかという疑問です。したがって日本の派遣業の創成期において派遣会社社長(その殆どが徒手空拳のニュービジネス創業者)は職安の指導がいつ来るかとビクビクして仕事をしていたといいます。

テンプスタッフ篠原社長の回想ではこんな風です。
…創業して2,3年たった頃、「人を企業に派遣して、お金をもらっているのは違法ではないのか」との指摘を受けた。職業安定法によって、民間の人材派遣業は非合法とされていた。刑務所に入れられるかもしれない。不安が襲った。それからも何度か(職安から)呼び出しがかかり、そのたびに落ち込んだ。
しかし欧米やオーストラリアでは、合法的なビジネスなのだ。日本でも、必ず人材派遣業が合法になるとの確信を持っていた。だが、1986年に「労働者派遣法」が成立するまでは、中途半端な、灰色のビジネスと見られていた。」

日本では、民間会社が他の会社に人材を供給することを禁じた法律(職業安定法第44条)があって、「人材派遣事業」と言う看板が使えなかったからである。 そこで、人材派遣法施行までの約20年間は、どの人材派遣会社も「事務処理請負サービス事業」という名前で、事業を展開していくことになる。
したがって現在の日本人材派遣協会は当初、日本事務処理サービス協会と言う名称で設立された。

日本企業も国際的競争力をつけつつあり、商社やプラントエンジニアリング会社などでは、外国語による輸出入書類作成、処理と言った業務が急増し、とても社員だけでは対応しきれなくなっていた。 人材派遣事業に対する潜在的需要が発生していたのである。
派遣スタッフに応募してくる若い女性も増えた。
45年当時女子高卒事務職25歳の月給平均が4万2270円だったのに対し、同じ25歳のマンパワー・ジャパン社の派遣社員は実働18日で6万5000円だった。

労働者派遣法の真の精神

元中央職業安定審議会会長の高梨昌氏は次の様に話している。
当初完成された「労働者派遣法」では、 専門的な知識と経験を必要とする専門職に限って派遣を認める方式だった。
それならば、派遣社員自身も技術を引換えに企業との“交渉力”を持ち、高い賃金と労働条件を確保して、正社員とのすみ分けも出来ると考えた。
原則自由化となった結果、派遣労働者は低賃金の労働を強いられ、いまや「スポット派遣」(=日雇い派遣)といった劣悪な使われ方もある。 企業は下請けに部品を発注するのと同じ感覚。
派遣を専門業務限定に戻すべきだ。
日本は人材こそが国際競争力の基礎。人を育てる事に手を抜いてはいけません。

派遣可能な職種を原則自由化した1999年の同法改正に関しては「当時、本当に悪い 経済状態にあった日本を立て直すため致し方ないところがあった」と指摘。
そのうえで「経済がここまで回復してきた。果実を労働者ひとりひとりに(還元する)という時代だ」と強調した。



資源のない我国が列強と伍して行くには人材が勝負。技術の伝承「老舗」の質と量で我国は他国を圧倒している。この最良の人材をいかに活用いていくかが国家繁栄の礎である。人材派遣業は創生期にこうした使命を持ち苦労を重ね事業を進めて来た歴史を持っていたのだ。元中央職業安定審議会会長の高梨昌氏のご意見に同感である。

我が人材派遣業務体験記

私は2年間シルバー人材センター財団法人平塚市生きがい事業団に勤務した。
この時期になると思い出すのは、「10日の電話」である。
毎月10日は除草業務の注文受付日で、早朝から電話が鳴りっぱなしになる。
最初の頃当方が慣れていなかったので、電話を掛けてきた市民の方がベテラン風に要領良く注文される。
6~7人位の職員が必死で応対する。雑草もこの時期伸びるのも早いから、それ程注文が多い。


民間企業初め、個人、国県市公法人から求人の注文は右肩上がりで増加していた。
そうなると60歳以上の会員が登録(約1500名登録)している個人カードから目が離せない。
一人の職員など自分で何人ものカードを抱えてしまいこみ、非難にあったりした。つまり仕事が入った時いかにスムーズに適材を配置出来るかが勝負だから。
暇さえあれば私もカードを見て自分のメモに人材を整理しておいた。時間がかかると夜も心配で寝れない職員もいた。

私の担当した公共では、例えばある市施設などは、施設管理3名、ハード事業に10名、ソフト事業に5名、これらが恒久で、臨時に植木や除草班が入る。
本庁でもOBが担当していた業務例えば文書配送業務や筆耕業務なども受注した。
OBには申し訳ないが単価が違う、いかに人件費が節約できるかをPRし売り込んだ成果であった。
公共でも節約と老人福祉に理解あることから仕事が増えたが、民間企業ではもっと切実である。
なにせ単価が安いのと、人材がやるきのシルバー連中であり好戦力であった。
給料に当たる配分金の毎月実績計算も生きがいで担当し、保険も生きがい側で持つのである。これでは人材を生きがい事業団に頼まない方がおかしい位である。


かくして注文が右肩上がりで増加しているのである。
大企業のIT関連、中堅企業の技術、デパートの管理畑出身などなにせ多彩な人材だった。
そして仕事ももセールス、機関紙作成、ISO支援、ITなど最近は頭脳労働部門が増えてきていた。
もちろん植木、雑草、駐車場管理、施設管理などが多いが、なんでもこなせる軍団を抱えているのが強みであった。わずか2年間の勤務だったが、その間トラックや乗用車など次々に納車されていた。
今時こんな活気ある職場体験がどこでできるであろうか。
適材を送って注文主の方から感謝されるのが本当にうれしかった。
シルバーさんからも感謝される。
人材派遣の醍醐味であった。


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