夫とともに灯台守って20年…映画「喜びも悲しみも幾年月」になった塩屋崎灯台:田中きよ子さんの手記

地方記者の原稿録9

「地方記者の原稿録」シリーズは、朝日新聞地方記者金丸日出一が送稿続けた戦前:戦中:戦後の地方発ニュ-ス原稿を今あらためて読み直し、平和を願い、平和を壊され、しかし確実に逞しく生きていく地方の市民生活の一コマを少しでも窺うことが出来ればと発信するものです。

6 昭和28年5月~33年7月  福島県平通信局時代 

昭和32年朝日新聞浜通り版

映画「喜びも悲しみも幾年月」になる灯台生活

塩屋崎灯台田中きよ子さんの手記 灯台守って夫とともに20年
 

平市豊間、塩屋崎灯台の航路標識事務所長から岩手県魹ヶ崎灯台長に3日転任する田中績氏(42)の妻きよ子さんの手記「夫とともに20年」が映画になる。

手記は田中氏が昭和10年魹ヶ崎灯台を振り出しに北海道宗谷岬、樺太の海馬島、長崎県五島列島の玉之浦、宮崎県都井岬から塩屋崎灯台までの25年間勤務のうちきよ子さんと結婚してからの20年間の灯台守生活を綴ったもの。

「嵐の夜のものすごい波の音、荒れ狂う風雨中子どもを抱きながら脅え明かした恐怖の一夜。お産の時近所にお産婆さんがいないため夫が子どもを取り上げたことも。星のきれいな夏の夜。限りなくロマンチックな思いで語りあった楽しい日」

灯台生活の寂しさ、苦しみ、楽しいときの数々が描かれて婦人クラブに登載された。
映画は松竹木下恵介監督の脚色、題名は喜びも悲しみも幾年月。
高峰秀子と佐田啓二の主演。

きよ子さんの話
「灯台守の生活が映画になるのは本当にうれしいことです。
一緒に生活する人は何人もいないのでお互い仲良しになる。
夫婦は家事も助け合い円満になります。
苦しいときもありますが、ロマンチックな思いに浸り苦しみの埋め合わせをしています。」



大ヒット

1956年に雑誌掲載された福島県塩屋埼灯台長(当時)田中績の妻・きよの手記から題材を得て、木下監督自身が脚本を執筆した。
全編に渡りカラー映像で撮影され、単なるホームドラマの枠を超えて日本各地の美しく厳しい風景を活写した大作で、公開当時大ヒット作となり、同年の芸術祭賞を受賞した。
若山彰の歌唱による同名主題歌の『喜びも悲しみも幾歳月』も大ヒットし、
後世でも過去の著名なヒット曲としてしばしば紹介されている。

映画鑑賞記から

いろいろなことが起こっても、いや、いろいろなことが起こるからこそ、おたがいを信じ合い、助け合って生きることが必要なのだ。
劇中、高峰秀子がつぶやく「わたしたちがこんなに苦労をしていることを、世間の人はなにも知ってはくれない」という言葉に、佐田啓治がはっきりと答える。
「おまえの苦労は僕が知っている。僕の苦労は君が知ってくれているじゃないか」

たった一人、世界にたった一人でもこう言ってくれる人がいるということは、ほんとうに素晴らしいことだと思う。
ささやかだけれど、なくてはならないもの。
などとガラでもなくクサいことを考えさせる力が、この作品にはある。
僕の長ったらしく説教クサい文章を読むよりも、ぜひ実際に作品を観てほしいと思う。2時間40分もの大作がズシリと心に迫り、気持ちのいいハッピーエンドがさりげなく「大切なもの」を教えてくれることだろう。


…余りにも厳しい自然環境の中での厳しい仕事…
夫婦愛も家庭も仕事もそして人生そのものがこの映画ではすっかり語られている。
だから国民的大ヒットになった。観た者は皆涙をながした。共感の涙を。

喜びも悲しみも幾年月

【作詞】木下 忠司
【作曲】木下 忠司

おいら岬の灯台守は
妻と二人で沖ゆく舟の
無事を祈って灯をかざす
灯をかざす

冬がきたぞと海鳥鳴けば
北は雪国 吹雪の夜の
沖に霧笛がよびかける
よびかける

離れ小島に南の風が
吹けば春くる 花の香だより
遠い故郷思い出す
思い出す

あしたに夕べに入船出船
妻よ頑張れ涙をぬぐえ
燃えてきらめく夏の海
夏の海

星をかぞえて波の音きいて
ともにすごした幾年月の
喜び悲しみ目にうかぶ
目にうかぶ




大人気


浜の珍味  ウニの貝焼き

ウニの貝焼きは石城七浜名物だが、久ノ浜町波立海岸では獲ったばかりのウニをすぐ浜で石焼しながら海水浴客に売り出している。

まずおやじさんが海にもぐり1回に30個ほど獲ってくる。おかみさんがそのウニを二つに割って、中の黄色い卵をスプーンへ。
北寄貝やはまぐりの殻に詰める。六つほどで山盛りになる。
これを小砂利を敷きしめた鉄板の箱に並べ下から火をたく。
こうばしいウニの香が味覚をそそる。この海の幸1個40円。平市内では60円になる。
焼き立ての浜の貝焼きに人気の軍配が上がった。


大スクープ
昭和32年5月18日朝日新聞空輸号外
 双葉町で急行北上脱線転落 死者3負傷20数名


平発 
17日夜8時20分頃福島県双葉郡双葉町の長塚駅から南へ約700メートル、前田川を渡った地点で上野発青森行常磐線下り急行北上の機関車と前の客車5両が脱線、機関車と1両目は横転、2両目から4両目は高さ5メートルの土手にくの字に転落。

機関士、助手、及び乗客1名の計3名が死亡、負傷者は20数名に及んだ。地元消防団が救出に当った。乗客は600人だった。
横倒しになり泥田に突っ込んだ車両から乗客はあらそって窓から辛くも逃れ出た。乗客に一人は「気がつくと川の中だった。水で動けなくてもがいていたらだれかが引き脱してきれた。顔に手をやったら血だらけだった」と恐怖を語った。
県警捜査本部調べでは、事故現場のガード橋ゲタに残っている傷跡はトラックに積んだ砕石機が橋ゲタに強くぶつかり、そのため橋ゲタがゆるみ事故を起こしたとして東京都内の盤井鉱業運転手を取り調べている。

…この記事は大スクープになった。日頃から国鉄への極め細かな人間関係を築いてきた成果だった。第1報の入り方で勝負が決まった。編集局長賞を通信局3名と1報をくれた国鉄職員を招待してのお祝い酒宴はまだ幼い目に残っている。

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