年数と指揮命令の制限がなく請負と派遣の良さを兼ね備え良質の労働力を提供出来る組織があるのに…

朝日新聞社発行 朝日新聞社特別報道チーム 
 「偽装請負―格差社会の労働現場」211ページ


1、キャノンの家族主義:空洞化はさせないと止むを得ず採用した偽装請負の是非

○「人材の流動性の低い日本では終身雇用を維持する」と公の場で家族経営の利点を御手洗社長は説いた。

○会社の経営哲学は、人間尊重主義、新家族主義、健康第一主義を打ち出していた。

○工員と職員に格差があったが、御手洗社長の伯父時代、格差を解消、全員を月給制とした。

○御手洗社長になり、ベルトコンベアー方式からセル方式に変えた。チームで多数の工程をこなす。労働者の習熟が効率の鍵だった。セルにより2万2千人が減らせた。増産により実質は1万人だった。

○御手洗は週間エコノミスト誌上で「中国には行かない、出来る限り母国でやる。失業は防ぎたかった。そこで派遣や請負の業界が出来たことで助かった。おかげで空洞化は防いだ。人が足りず1万人の派遣を雇用した」と述べた。当時製造業への派遣は禁止されていた。派遣とは請負であった。

○大分工場=大分県佐伯市は御手洗氏の出身地、ここに新工場を次々に設立、キャノンのおかげで経済効果は3,000億円に及んだ。名誉市民になった。

○大分工場はデジタルカメラ生産拠点で6,000人が働いていたが4,000人は請負。設備も全て会社側、指揮命令も会社、人員だけが請負側であり、これが偽装請負と基準監督当局は見て指導した。その後も製品の出来高で請求せず、人数と時間で請求するという初歩的ミス。これで再度指導を受けた。

○2007年国会で集中砲火を浴びた会社は、請負の偽装を正し、派遣に切り替えると宣言、しかし今度は最長3年派遣の壁がある。これは法改正を経済の実態に合わせ進めるべきと経済財政諮問会議で御手洗社長は主張した。
  
2、松下の超奇策

○松下幸之助7つの精神=①産業報国、②感謝報恩、③公明正大、④順応同化、⑤和親一致、⑥力闘向上、⑦礼節謙譲

○幸之助の言っていた会社が2万人のリストラを断行した。茨木市松下町のプラズマ工場、1,500人従業員の半数は請負。そして偽装装請負を避けるべく独自の奇想天外な戦術を編み出した。
松下のパネル製造ラインを監督していた社員が大量に請負会社に出向して請負社の名札になった。胸に技術指導のバッチを付けていた。「技術伝承」が出向の表向きの理由だった。が、実態は今までと何の変わりはなかった。
…法的に請負は指揮命令を発注社は行い、あくまで請負社の指揮命令下。発注社の指揮は偽装となる。民法632条。独立を要求している。しかしこれでは非効率で、発注社の細かい指示でこそ早く良い製品が製造で出来る。正規社員との混在も許されない。これも本当はチームで成果を上げたいところ。これが偽装の横行する要因。

○労働当局、法学会、労働界もこの手法には驚くとともに危惧も大きかった。これでは日本中の偽装請負が成立してしまう。
2006年8月大阪労働局は現地監査を実施、結局この手法は「出向の正当性に疑義あり」とされ職業安定法違反となった。技術指導だけならよかったが一緒に労働したことが問われた。

3、クリスタルの成長

企業様に適した人材を即時に確実に配属したします。
減産時には当社にて人員調整します。次の繁忙期に備えます。
数千人を一挙に移し変えることが当社では可能です

大手メーカーのリストラに協力、余剰人員、整理人員を引き受けた。
この不況産業の余剰人員を引き受け、好調産業に送り込んだ。
京都で生まれ30年で年商6,000億円に成長した。

それもバブル崩壊期にである。グループ全体の従業員は13万人。
大トヨタの2倍のスケール。幹部は語る「請負は適正ならもうからない。偽装だ
からこそ儲かる」これが会社ニックネーム闇夜のカラスの由縁。
逆風が吹き始めたから行動はすばやかった。2006年グットウイルに株式譲渡。
静かに撤退した。林社長の得た創業者利益は800億円。「失われた10年に職を若者に我々が提供してきた」と今も誇らしく語る。

4、本書の提案と合成の誤謬

単独では正しくてもマクロになると正しいとは限らないことを言う。
貯金は個人レベルでは奨励されるが、国家経済としては不況になる。
請負も企業戦術として一時は有益でも広範囲に普及し年収200万円以下の層が多数構築されればこれは大きな社会不安になるし景気:経済も影響される。
本書の提案は…法律違反の偽装は正し、企業成績の回復を見たら正社員化を促進することと請負労働者自身のキャリアアップ(バウチャークーポン制度やコミニュティーカレッジ方式など)の導入を進めている。

5、本ブログ推奨「秘策中の秘策」

…年数制限がなく、指揮命令制限もなく歴戦の勇士を即座に配置出来ます…
    
派遣は1年とか3年の年数制限がある。
請負は指揮命令制限がある。
このような法的な年数制限がなく、指揮命令制限もない、労働保険、社会保険の必要も法的に全くない、派遣や請負よりずっと安価で賃金計算も必要ない、御社には気持ちよく働いてもらう仕事と職場があれば良い、それでいて仕事一途勤勉実直で有能な歴戦の勇士を即座に配置出来ます。
労働災害が発生してもこの組織と分かると労働基準監督官は「問題外と」即刻お帰りになります。
国家政策に適合したそのような組織が実際あるのです。お使いになったら。
お問い合わせは当事務所へメールでどうぞ。


自由国民社発行「口語民法」に学ぶ

第5章  法律行為

第133条 「不能条件」

不能の停止条件を付した法律行為は、無効とする

2 不能の解除条件を付した法律行為は、無条件とする。

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