転益多師…社会保険労務士制度50周年に贈られた菅野和夫先生のお言葉

転益多師…杜甫の言葉から菅野和夫先生が選び、社会保険労務士制度発足50周年を記念して贈られた言葉

身近な人から、すべてのものから,
学べないことはなく、自身をとりまくすべてが「師」である。

平成31年2月1日
横浜ベイシェラトンホテル清流の間において社会保険労務士法制定50周年記念式典特別講演が開催された。

テーマ
変化する労働法と社労士の役割

講師
東京大学名誉教授 菅野和夫先生


講演を終えて控室に戻った菅野先生を私は直撃した。
50周年特別委員会委員長山本暁先生の温かいご配慮もあって実現したもの。
弘文堂発行の労働法第11版補正版の分厚い先生の労作を差し出し、サインとお言葉をお願いしたのだった。
快く先生はサインされ、自己紹介する私の顔を見ながら「転益多師」と書かれた。
「本をありがとう、金丸先生も勉強続けて下さい」とお話いただいた。
感激のひととき。
50周年事業で最もシンボリックな出来事でもあった。

弘文堂発行 菅野和夫著「法律学講座双書 労働法 第11版補正版」1166ページ 

472ページ=休日振替の要件
休日と定められた日を労働日に変更し、代わりにその前後の労働日を休日に変更すること。
☆事前の振替
就業規則上振替する旨の規定が存在することで有効となる。
規定がない場合は労働者本人の個別的同意を得て行うことが許される。
ただし週休1日の原則に反しないよう設定しなければならない。この限り割増賃金を要しない。

☆事後の振替
条件は事前と同様である。
休日たる性格を変更しないまま労働日として使用された場合は、労基上休日労働の要件を満たすことが必要となり、すなわち割増賃金を支払わなければならない、またこの場合は休日を代わりに与えることは必要とされない。



464ページ=事業場を異にして労働
☆労基第38条…事業場異にする場合でも労働時間は通算する
私としては(菅野先生)、週40時間移行後の解釈としては、同一事業主の下で事業場を異にする場合のことであると解しても良かったと思っている。
行政解釈でも、使用者が、別の使用者の事業所においての労働を知らない場合には、通算による法違反は故意ないため不成立となっている。

504ページ=1年単位の変形労働時間制
☆所定労働日数の限度…3カ月を超え1年以内…1年当たり280日
☆連続労働日数…6日 繁忙な特定の期間は12日
☆労働時間1日当たり…10時間  1週当たり52時間 利用は連続3週間超えないこと

1年単位の変形性と賃金
☆月給制により定額の賃金となる(労働時間の多い少ない月の違いと賃金)取り決めは有効である。
所定労働時間多い月も少ない月も同額の賃金となるが、これは賃金全額払いの原則に違反するものではない。


329ページ 年次有給休暇
☆年休権と時季指定権の区別
年次有給休暇の権利をどのように法律構成するかについては、かって学説では請求権説、形成権説、二分説に分かれていたが、1973年の最高裁判例が二分説を採用、実際上決着がつけられた。

基準法第39条第1項の客観的要件を充足することにより法律上当然に発生する権利である。
労働者が請求をして初めて生じるものではない。

従って時季指定権とは、すでに発生している年休の権利を具体的に特定するための時季指定権を定めたものである。
これらは相互に明確に区別される。
1987年の法改正で導入された計画年休とは、二分を変更するものでなく、年休権の特定について時季指定権と並ぶ計画年休(労使協定)という方法を取り入れたものである。

再び菅野先生から送られた転益多師

杜甫の名言「転益多師」は永久不滅の言葉と言えよう。
苦しい日々を歩んできた杜甫は、一生ゆらゆらと揺れ漂ってきた自らを「天地一沙鴎:天地の間をさまよう一羽のかもめになぞらえた。

人 生 七 十 古 來 稀
この人生、七十歳までの長生きは滅多にないから、
花の奥で蜜を吸う揚羽蝶や
水面で軽く尾を叩き緩やかに飛ぶトンボのように
今のうちにせいぜい楽しんでおきたい。

蝶や蜻蛉、春の風物に対して語り掛けようではないか。
共に流れ行く時の中、暫くの間でいいから、
お互いに誉め、争いなど忘れよう。

国破山河在 城春草木深

ブログ発信 特定社会保険労務士 金丸亜紀雄

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