もう一つの3億件事件…宙に浮いた年金記録5千万件の発生経過の解析と時代は変わりマイナンバー制度誕生へ

2007年8月29日発信再掲…5月24日社会保障の一元管理マイナンバー法がようやく成立する契機にもう一度原点の宙に浮いた年金記録問題を分析する


5000万件の年金記録が宙に浮いた、消えたと大騒動になりました。
先の国会は本当は労働国会になるはずでした。
しかし年金記録騒動のあおりを食って年金国会化し労働保険法のいくつかは先送りになってしまいました。

その5000万件の記録はどう発生したのでしょうか。
騒動がどうやら収まりつつある今、じっくり検証したいと思います。
昨日8月28日 社会保険労務士会西湘ブロック年金研修会において牧島務先生が講師になり本件の研修を行いましましたが、その報告でもあります。
牧島先生は27枚に及ぶ資料を作成され実に分かり易く説明をされました。
熱意ある取り組み姿勢に大いに敬服いたしました。

宙に浮いた5000万件の記録発生の経過

①平成9年:加入制度によりそれぞれ管理されていた記録をしっかり把握するため!事務の効率化、サービス向上を図るため基礎年金番号を被保険者全員に付与することになりました。

②当時社会保険業務センターに集積した国民の年金記録は全部で3億件でした。

③以下3億件となった経過
昭和17年労働者年金制度の発足=加入記録台帳には名前、事業所名、加入年月日、
賃金が記録されてました。
しかし保険料の記録はありませんでした。
最後の賃金額と加入期間が分かればそこで計算された年金額つまり恩給額(退職金)支給と同じ考え方でした。


④この記録保管は担当の内務省保険院が行った。
昭和20年当時被保険者430万人分の記録はすでに940万件にも達していました。

⑤戦中、戦後の混乱期
内務省から社会保険庁に管理が変更された。このころおよそ910万人加入で記録台帳は3、230万件でした。記録用紙がザラ紙、インクも悪く文字がにじんでいたものも多く発生した。

昭和25年各地の社会保険事務所で台帳の整備を行った。
社、工場、事業所の名前変更が戦後混乱期には多かった。
場所の移動も激しかった。多くの方も勤務先の会社変更も当然多く、また軍人時代の経歴を隠し氏名偽証しての勤務状態も日常化していた。


⑥昭和32年社会保険業務センターで集中管理する方向が打ち出された。
紙台帳から機械化に合わせパンチカードシステムが導入された。更にその後磁気テープ保存方式に順次変更されて行く。36年国民年金制度も始まる。

⑦この際、移し変え、読み替え作業はボロボロににじんだ用紙からの読み替えだった。本省職員も行ったが多くは臨時アルバイトが任に当たった。
漢字からカタカナへの読み替えを行った。


⑧短期間納付者、高齢で請求申請しなかった者、脱退一時金受領者等の「記録は磁気テープ保存とせず、マイクロフィルム記録とした。約1,430万件だった。

平成9年基礎年金番号制度導入
 ①②で述べた通り業務センターに集積された記録は3億件に達した。
国民年金関係1億3900万件:厚生年金関係1億5600万


⑩3億件の記録の所有すべき対象者は1億人。受給権者3000万人:被保険者7000万人

⑪事業所へ連絡氏名住所の調査確認:受給権者3000万人、加入者7000万人に手紙で年金番号の重複を尋ね統合する旨連絡。約2000万人の番号が統一された。

3億件のうち2億5000万件が判明整理された
そして結果5000万件が残ってしまった。

80%が厚生年金関係、20%が国民年金である。
このうち400万人は明治生まれ、大正前期生まれで既に亡くなった方の記録も多いだろう。


事象1:基礎年金番号に未統合

事象2:マイクロフィルム化されたものあり

事象3:台帳から入力した際誤転記されたものあり

事象4:保険料納付したのに記録されてないものあり


以上がもう一つの3億件事件、5000万件が宙に消えた真相である。
国民の大事な記録である。
従って時代に一番即した保存方法が採用されたのは分かる。

手作業による紙台帳管理パンチカード管理磁気テープ管理オンラインシステム磁気ディスク管理(一部マイクロフィルム管理)

この流れの中で何回転記読み替え移し変えが行われたのであろう。

私も本ブログでも報告したが、同様なデータ転記入力作業を実施した経験がある。
必死に課職員が対処し深夜土日も作業が続いた。
ついに責任感から倒れた職員も出た。
転記入力後がまたそれ以上に大変だった。間違って入力したかどうかの点検が膨大だったのである。
まさに使命感がなければこなせない仕事量だった。


時代は変わる…マイナンバー法成立へ


国民一人一人に番号を割り振って所得や納税実績、社会保障に関する個人情報を1つの番号で管理する共通番号「マイナンバー」制度の関連法が、平成25年5月24日の参院本会議で可決、成立した。
平成28年1月から番号の利用がスタートする。


 27年秋ごろに市区町村が国民全員にマイナンバーが記載された「通知カード」を郵送。希望者には氏名、住所、顔写真などを記載したICチップ入りの「個人番号カード」が配られる。

 行政機関は現在、国民の個人情報をばらばらに管理しているが、マイナンバーで年金、医療、介護、税務などの情報を結びつける。
この結果、行政コストが削減できるほか、個人の所得状況や社会保障の受給実態を正確に把握しやすくなり、公平で効率的な社会保障給付につながる。
「税逃れ」の防止にも役立つ。


 利用者にとっても、年金などの社会保障給付の手続きや税金の確定申告で、住民票や納税証明書といった添付書類が不要になり、手続きが大幅に簡素化される見通しだ。

 ただ、自営業者が経費を過大請求して税金を過少申告するケースは従来の税務調査でしか分からないなど限界もある。
個人情報漏洩(ろうえい)や番号の不正取得による悪用への懸念も消えない。

 政府は情報の取り扱いを監視する第三者委員会を設置。
漏洩に関わった職員に4年以下の懲役、または200万円以下の罰金を科す。法施行から3年後をめどに利用範囲の拡大も検討する。


制作発信 社会保障・安全衛生コンシェルジェ 特定社会保険労務士 金丸亜紀雄

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