新任社会保険労務士対象の基礎実務講座を担当する…テーマ「厚生年金保険」

平成21年度神奈川県社会保険労務士会研修委員会主催の基礎実務研修会が開催され「厚生年金保険法」を担当した。

期日 平成21年12月19日午後1時30分~3時20分
会場  ワークピアかながわ

研修委員は基礎実務講座の労働基準法、労働者災害補償法、雇用保険法など各種社会保険労働保険のどれかを担当しなければならない。最後に残った厚生年金保険法は私にお鉢が回ってしまった。

資料①レジメ資料(詳細以下)
資料②社会保険労働保険手続き便覧
資料③各種様式集
資料④実際の老齢年金請求書等
資料⑤社保庁発行パンフレット



資料①レジメ資料「厚生年金保険法と基礎実務のポイント」


目次
Ⅰ 厚生年金保険法の経緯:沿革…………………………………………… 1
Ⅱ 厚生年金法改正と基礎実務上のポイント……………………………… 4
Ⅲ 厚生年金保険法1号、2号業務と基礎実務上のポイント………… 13
Ⅳ 厚生年金保険法3号業務と基礎実務上のポイント………………… 15

Ⅰ 厚生年金保険法の経緯:沿革

1、工場法の制定
 1911年(明治44年)工場法公布、1916年(大正5年)施行。15人以上の工場適用、最長労働時間12時間(女子及び15歳未満)、休日月2回。「職工事情」を参考。

2、健康保険法の制定
第1次世界大戦後の社会経済状況から労働問題が深刻化し生活安定、福祉向上を図るため大正11年4月健康保険法が制定された。

3、国民健康保険法、船員保険法の制定
昭和13年厚生省が新設され、銃後ないし勤労家庭の生活安定の必要性と国民の健康管理面特に結核対策を重大視し昭和13年4月国民健康保険法、昭和14年に船員保険法が創設された。船員保険法は我国始めての本格的な社会保険的性格をもつ年金保険をはじめ、被保険者又は被保険者である者の疾病、負傷、分娩、死亡、失業、職業に関する教育訓練の受講、雇用の継続が困難となる事由の発生、職務上の事由もしくは通勤による障害又は職務上の事由による行方不明に関し保険給付を行い、併せて被保険者の被扶養者の疾病、負傷、分娩又は死亡に関し保険給付を行うことを目的とした制度を海上労働者に実現させた。

4、労働者年金保険法の制定
昭和16年3月公布、保険料、保険給付などの施行期日は昭和17年6月1日。
適用範囲は、常時10人以上の従業員を使用する工業、鉱業、運輸業に使用される男子労働者。
養老年金=資格期間20年、支給開始年齢55歳
障害年金、遺族年金、保険料 1000分の64

{基礎実務}
施行期日昭和17年6月1日を確認・説明する…それ以前から就業している旨の質問等が多い。


5、厚生年金保険への発展

〇昭和19年2月労働法から名称変更した厚生保険法公布。
平成19年6月資格規定、10月からその他の規定施行。
職員、女性、5人以上事業所に適用範囲拡大。
勤労を通して国家に奉仕する皇国勤労思想、勤労動員による女性労働者の大量職場進出「労働者」名称の忌避傾向が背景。

{基礎実務}
施行期日昭和19年10月1日を確認・説明する…これもそれ以前からの就業を主張される場合多い。

〇昭和22年9月1日改正厚生年金法施行(労働者災害補償保険法施行と同時)=業務上災害分離、障害給付改善、標準報酬引上げ、脱退手当金を6カ月以上20年未満に支給

〇昭和23年8月寡婦年金(かん夫年金、遺児年金)創設
…16歳未満の子を持つ50歳未満妻、50歳以上妻

〇昭和29年5月1日 新厚生年金保険法公布
標準報酬12等級:老齢(60歳女子55歳支給)、遺族(老齢年金の額の2分の1、40歳以上妻、子18歳未満)、
障害各年金、障害手当金、脱退手当金。

〇昭和36年4月1日、国民年金制度発足
※昭和34年11月国民年金福祉年金制度発足
※昭和36年4月1日から国民年金拠出制発足

{基礎実務}
昭和34年11月、35年4月等記載の年金手帳持参の問い合わせが多い。拠出制発足が36年4月と説明する。
〇昭和40年改正で遺族年金の妻年齢制限はなくなる
〇昭和61年4月 基礎年金制度導入
※ 昭和31年、国鉄、電電、専売公社による公共企業体職員等共済組合実施→平成9年4月厚生年金保険に統合
平成14年農林漁業団体職員共済組合が厚生年金保険統合

Ⅱ 厚生年金法改正と基礎実務上のポイント

①、平成19年12月19日公布:施行「厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例に関する法律」…第三者委員会が廃止されるまでの時限立法…
年金記録確認中央第三者委員会及び地方第三者委員会が調査審議し特例法の対象事案として認めた場合、社会保険庁は職権で年金記録を訂正する。
法1条1項 特例法の対象
「事業主が被保険者の負担すべき保険料を控除した事実があるのにもかかわらず、保険料を納付していなかった場合」「事業主が被保険者の負担すべき保険料を控除した事実があるにもかかわらず、保険料を納付する義務が履行されていたか否かが明らかでない場合」
…いずれも未納保険料の徴収権が時効により消滅している場合に限られる…

法第2条特例納付保険料の納付等
社会保険庁長官は、特例対象者の確認を行った場合、事業主等へ特例納付保険料の納付の申し出ができる旨を通知し納付の勧奨を行う。保険料徴収権は時効2年のため任意での納付勧奨となる。
納付申し出期限は勧奨開始から6カ月、申し出のない場合は公表する。未納保険料に加算される額は免除追納等の加算率と同様。被保険者分と事業主分を合わせた額。事業主不在等のときは公告をしそれでも不明のとき及び納付期限までに納付しない場合にも公表する。

法2条9項 国庫負担
「国は次の場合、保険料相当額を負担する。(イ)公表から10カ月経過する日までに勧奨を行うことが出来ない場合(ロ)納付の申し出が行われず再度の納付勧奨開始から6カ月経過した日の属する月の末日までに納付の申し出がない場合」
…特例対象者が事業主等に持つ損害賠償権を国は代位取得し裁判により事業主に請求することを可能とし事業主責任を明確化している…
問題点「どのくらい事業主から納付申し出がされたか」
「悪質事業主に対して損害賠償請求権を行使しどのくらい責任を追及できるか?」

②平成19年7月6日公布「厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律

…これまでは、2カ月ごとに年金を受ける権利(支分権)は、5年を経過すると自動的に時効消滅したためその分の年金は受給出来なかった…
本法により年金記録が訂正された上で年金の裁定または裁定訂正した場合は、消滅時効した後でもさかのぼって支給されることとなった。施行前、施工後も適用。
対象者
(1)法施行日前に年金受給権が発生している者で、記録訂正により将来分は増額したが、過去分は5年分のみ支給された者
(2)法施行日前に年金記録の訂正により受給資格が確認され、新たに年金を受給するようになったが、過去分については5年分のみ支給された者
(3)上記に未支給年金の請求権を持つ遺族
(4)法施行後に年金記録が訂正される者
※法施行前の記録訂正がされたため5年分しか支給されていない場合は等を社会保険事務所に提出する手続きが必要である
※本法はあくまで年金記録の訂正による増額する場合に5年の消滅時効にかかわらずさかのぼり年金が支給されるものです。従って受給者自身が請求を忘れた等の場合の年金支給は依然として5年の消滅時効がかかる。

③平成20年4月施行厚生年金保険法第31条の2
(被保険者に対する情報の提供)
社会保険庁長官は、厚生年金保険制度に対する国民の理解を増進させ、及びその信頼を向上させるため、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者に対し、当該被保険者の保険料納付の実績及び将来の給付に関する必要な情報を分かりやすい形で通知するものとする。



国民年金法第14条の2

{各国の年金情報提供}
スウエーデン
〒 オレンジの手紙制度=18歳以上に年1回支給見込額
ドイツ
27歳以上に年1回、65歳からの見込額通知制度 
米国
25歳以上年1回(随時も)62歳からの見込額通知制度

{ねんきん定期便(被保険者に誕生月に送付)の留意点}
□オレンジ色の封筒…記録に不自然な点ある方や特別便の返事ない方に送られる。もれや誤りない場合も返事をする。
◆水色の封筒…記録に問題ないと認識された方に送られる。
もう一度記録を確認し、問題なければ返答の必要はない。
○50歳未満…作成時点の納付額(将来納分含まず)による年金見込額を通知。今後の納付実績で見込みは増加する。
◎50歳以上の方…制度と条件が年金受給年齢まで継続したらと仮定した見込額を通知。(将来分含んでいる)

※宛先不明で未到達のねんきん特別便が約280万件。
厚労省ホームページから「厚生年金保険被保険者・国民年金第3号被保険者住所一覧表提供申出書」を提出することで住所変更可能。国民年金は市町村窓口へ。

④平成19年4月1日改正 厚生年金保険法第38条の2( 受給権者の申し出による支給停止)
年金給付は、その受給権者の申し出により、その全額の支給
を停止する。ただし、この法律の他の規定又は他の法令の規
程によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額の支給を停止する。
第1項の申し出は、いつでも、将来に向って撤回することができる。
‥年金給付による所得保障を受けないという意思表示を尊重、申請(裁定請求)しないとは異なる意味合い(5年遡りしない)
※国民年金法20条の2


>⑤平成19年4月1日施行
厚生年金保険法第78条の2
(離婚等をした場合における標準報酬の改定の特例) 
厚生年金保険法第78条の3
(請求すべき按分割合)…熟年離婚の増加等により高齢単身女性の貧困等の問題が発生している背景、男女間受給額の格差、従来離婚による財産分割で年金は対象にされていなかった事等々…
…年金額ではなく被保険者期間や標準報酬を分割し(保険料納付記録の分割と表現)、双方に受給権発生の仕組みとしている。

※離婚時みなし被保険者期間(第78条の7)
離婚分割によって受けた、第1号改定者の厚生年金被保険者期間であって第2号改定者(第1号の配偶者)の厚生年金期間でない期間。この期間については、第2号改定者の厚生年金被保険者期間であったものとみなす。
※附則第8条関係…離婚時みなし被保険者期間は保険料納付済期間とは同義ではない=妻の保険料納付済期間が10年しかない場合みなし被保険者期間が20年来ても受給資格期間不足により受給権自体が発生しない。
※国民年金保険料納付済による受給資格期間を満たしていても厚生年金被保険者期間が1年未満しかない場合には、みなし期間が10年来ても65歳からの受給となる。

⑥平成20年4月1日施行厚生年金保険法第78条の13
被扶養配偶者に対する年金たる保険給付に関しては、第3章に定めるもののほか、被扶養配偶者を有する被保険者が負担した保険料について、当該被扶養配偶者が共同し負担したものであるという基本認識の下にこの章の定めるところによる
…平成20年4月から第2号被保険者と第3号被保険者との離婚に限った厚生年金の分割として実施された。

{実務:請求手続き}
「年金分割のための情報提供請求書」を社保事務所へ提出→
社保から「情報提供通知書」が届く→按分割合を決定→「標準報酬改定請求書」を提出→「標準報酬改定通知書」が届く→受給開始年齢で年金を請求する。

⑦ 平成21年4月24日成立 遅延利息軽減法
(社会保険の保険料等に係る延滞金を軽減するための厚生年金法等の一部を改正する法律)施行は22年1月
事業主が厚生年金保険や健康保険及び労働保険料等の保険料を滞納した場合現行年14.6%の延滞利息が付くが、納付期限から3カ月間については年7.3%《当分の間特例基準割合が7.3%に満たない場合当該特例基準割合となる。実際には国税延滞利息と同じ4.5%が適用される》
実務…保険料等遅延加算を避け万一でも3カ月以内納付を。

⑧平成21年4月24日成立 年金遅延加算法
(厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払いの遅延に係る加算金の支給に関する法律)施行は22年1月
年金記録が修正され裁定(再)された場合長期の支払い分につきその間の物価上昇分を考慮して延滞特別加算金を上乗せ支給する。時効より遡って未払い金がある方が対象。物価下落分は反映させない。加算金は非課税。施行日前の裁定(再)で既に支給済者は加算金を新規に請求するものとする。
施行日後の受給者は請求をしたものとみなされる。
未支給の年金給付と同様死亡者の配偶者も請求出来る。

⑩平成19年4月施行 老齢厚生年金の繰上げ:繰り下げ 
厚生年金保険法第44条の3 (支給の繰下げ)
老齢厚生年金の受給権者は、その受給権取得日から1年を経過した日前に老齢厚生年金を請求していない時は、老齢厚生年金の繰下げの申し出をすることが出来る。


{実務}
○特別支給の老齢厚生年金は繰り下げ対象ではない
 請求を遅らせても加算されるものではない。
○1年を経過した日前=12月19日に65歳になった人は翌年の12月19日が誕生日、その誕生日前の日12月18日に66歳に達する、従って1年を経過した日前は12月17日
○単独で繰り下げが出来ることとなった…改正前と違い、遺族基礎年金の受給権者は老齢厚生年金の繰下げが出来ませんが、老齢基礎年金や障害基礎年金を受給しながら老齢厚生年金を繰下げることは出来ることとなった。
※厚生年金保険法附則第7条の3

「老齢厚生年金の支給の繰上げ」
以下の条件に該当する人対象は、65歳以後支給される老齢厚生年金を60歳以降65歳前に繰上げて受給出来る。
 ァ、昭和36年4月2日以後生まれの男子
 イ、昭和41年4月2日以後生まれの女子
 ウ、昭和41年4月2日以後生まれの者で坑内員期間と船員期間を合算して15年以上ある者
{実務}
※老齢厚生年金の支給の繰上は老齢基礎年金の繰上げと同時に行わなければならない。
※減額率は政令で定める…1000分の5に請求日の月から65歳に達する前月までの月数をかけたもの
※繰上げ中の人が再度被保険者になったときは、65歳に達した時改定が行われる。退職改定も65歳までない。
在職老齢年金支給停止のしくみは65歳前でも65歳台後半のしくみを適用させる。

Ⅲ、厚生年金保険法1号、2号業務と基礎実務上のポント

社労広報センター発行「社会保険・労働保険手続便覧」参照
…300とも400ともいわれる社会保険・労働保険諸手続きはいずれも事業主、従業員・家族の権益に係わる重要なものばかりであり、正確で迅速な事務処理に心掛けなければならない。便覧には最重要な198点を収録。

(1)社会保険の適用編:年金関連
P4「新規適用届」からP76「70歳以上被用者育児終了時報酬月額相当額変更届」まで26種類の申請書、届出書が掲載されていますので事例発生に伴い記入例を参考に処理を行って下さい。
(2) 国民年金・厚生年金の給付編
P109「国民年金・厚生年金保険老齢給付裁定請求書」からP197「標準報酬改定請求書(離婚時の年金分割の請求書)まで29種類の請求書届出書等が掲載されています。
{基礎実務}
記入例の説明が不足し実際苦労した時や修正された時など記入例に赤字等で追記しておくと参考となる。

※憲法第25条(生存権、国の生存権保障義務)
すべての国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部門について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

第13条(個人の尊重、生命、自由、幸福追求の権利)
すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大限の尊重を必要とする。
(3)補足資料編
①厚生年金保険脱退手当金裁定請求書
②脱退一時金裁定請求書:インドネシア語版
③履歴申立書
④生計同一申立書
⑤厚生年金保険被保険者・国民年金第3号被保険者住所一覧表提供申出書

>Ⅳ 厚生年金保険法3号業務と基礎実務上のポイント

①講演業務について基礎実務上のポイント
◎ポイントは3つ方式=概要→3点詳細→まとめ
◎何故どうして方式=理由:背景から納得へ
◎再現方式=現実感が強いほど印象深い

実例等を見せながら具体的に分かり易く説明・解説…
 事例…「離婚分割 花子さんの5つの誤解」

夫 太郎 64歳 厚生年金加入30年 年金額月20万円
妻 花子 58歳 婚姻期間24年 国民年金歴27年

花子さん 第1の誤解‥夫の厚生年金月額は
20万円だから離婚分割2分の1で10万円を‥ 太郎さんの厚生年金(3本構成)
①報酬比例 10万円 〇(5万円)
②定額    7万円 ×
③妻あり加給 3万円 × 
=報酬比例分の2分の1対象
第2の誤解
…では5万円を‥    30年-婚姻期間24年分(8万円)
=婚姻期間分の2分の1対象
第3の誤解
…では4万円を‥ 合議で最高2分の1、
協議で3万円の場合も
第4の誤解
‥なら3万円すぐに‥ 国民年金は65歳到達から受給権

第5の誤解
‥あきらめ7年待つわ  あきらめずに1年間厚生年金加入すれば60歳到達で分割分受給可

② 相談業務について基礎実務上のポイント
清潔質素な身だしなみ、背筋を伸ばした姿勢、相手に応じた分かりやすい言葉と進め方、一定の距離置き冷静・機敏に:平成11年5月発生した平塚市役所での年金殺人事件を報告 

③ 基本事項の確認と基礎実務上のポイント
1、被保険者等
○国民年金法第7条
二 被用者年金各法の被保険者、組合員又は加入者(以下「第2号被保険者」という)
…厚生年金保険者は70歳未満(厚生年金保険法第14条)
…65歳以上の者については、国民年金法附則第3条の読替え規定により、老齢基礎年金等の老齢または退職を支給事由とする年金たる給付の受給権を有しない被保険者、組合員、加入者等に該当する人のみが第2号被保険者となる。
{実務:65歳から70歳前後の被保険者}
65歳以上の厚生年金保険の被保険者の場合、老齢基礎年金の受給権ある人は、厚生年金保険の被保険者であっても国民年金の第2号被保険者ではない。そのため被扶養配偶者は第3号にならないので注意を。
○ 厚生年金保険法附則第4条の3~5
 厚生年金保険の被保険者資格は70歳未満であるから被保険者が70歳に達したときは、その日に被保険者資格を喪失する。(法14条)適用事業所に在職していても保険料負担はないが、勤務日数及び勤務時間が正規職員の4分の3以上の方は在職老齢年金の仕組みが適用される。
70歳以上でも国民年金の老齢基礎年金等の受給権を有しない人は、受給資格を得るまでの期間、高齢任意加入被保険者として厚生年金保険に加入できる。


2、資格喪失の時期
法第14条 
次のいずれかに該当するに至った日の翌日に被保険者資格を喪失する。・死亡したとき、使用されなくなったとき、適用除外に該当したとき。70歳に達したときはその日。
※70歳に達した日とは、70歳の誕生日の前の日(=喪失日)
※適用除外=共済組合組合員もしくは私学共済加入者、臨時に使用されるもので日々雇用、2カ月以内期間定め者、所在地一定しない事業所、季節的業務、臨時的事業…

3、被保険者期間
法第19条
月によるものとし、被保険者資格取得の月から喪失した月の前月までをこれに算入する。

期間計算
{昭和41年4月入社、平成16年3月31日退職の例}
喪失日は平成16年4月1日ですから…
昭和41年4月から平成16年3月までの期間計算は、①
平成16年は昭和79年(63+16=79)ですから、41年4月から79年3月までとなります。そこで79年3月から41年3月を控除します…
79年3月
-41年3月
38年
練習 
昭和42年10月入社、平成18年3月退社の期間は?
=平成18年は63+18で81
 81年3月        80年15月
-42年9月→(12進法)-42年 9月
              38年 6月

4、保険料:法81条 
平成21年9月から平成22年8月までの月分=
 1000分の157.04 →毎年1000分の3.54引き上げ
 平成29年9月以降は1000分の183.000
{実務 過去の保険料率} 相談事例から訊かれる場合あり
○ 育児休業中の保険料免除 法81条の2
「育児休業等」3歳に満たない子を養育する休業
{実務申出}
申出をした日の属する月→改正→開始した日の属する月

5雇用保険法:失業給付と年金とも受給
…失業給付(基本手当)と老齢厚生年金の両方受給するには、65歳に到達する直前(例2日前)退職すれば64歳での退職となり、基本手当を受ける時点で65歳に達しているので両方とも受給が可能となる。3カ月前位から65歳に達する日の前の日までの間に退職すること。
 10月10日に65歳になる方はいつ退職するば良いか?
=7月15日自己都合退職し、7月に求職申し込みした場合、年金は8月から支給停止となる。
 自己都合退職であることから失業給付は3カ月間給付制限され、実際の支給は10月からとなる。年金8月分、9月分は支給停止が解除され、10月には65歳に達することから10月の年金からは失業給付との調整がなくなりこの方の老齢厚生年金は全額受給することとなる
※ 65歳以降に退職する場合、失業給付は一時金である「高年齢求職者給付金」が支給され、この場合年金との調整はない。

6 平成21年度の老齢厚生年金計算式
7 厚生年金保険法被保険者記録照会回答票画面の見方
8 参考文献
社会保険研究所発行「厚生年金保険法総覧」
〃     「年金相談の手引き」
全国社会保険協会連合会発行「年金オープン講座」
社会保険法規研究会発行「厚生年金保険法解説」
社会保険業務センター発行「年金相談マニュアル制度編」等
厚生出版社発行「障害認定基準の説明」
中央法規発行「年金相談事例集」
健康出版社発行「公的年金給付の総解説」
9 日本年金機構の概要
根拠法=日本年金機構法(平成19年法律第109号)
◆名称:日本年金機構(にっぽんねんきんきこう)
◆組織:非公務員型公法人(特殊法人)
本部、9地方ブロック本部、312年金事務所
◆設立年月日:平成22年1月1日(社会保険庁を廃止)
◆職員数:17、830人(有期雇用職員6,950人)
◆業務内容
国:厚生労働大臣から委任(資格得喪等国の権限を委任され機構名で行う)・委託(裁定等国名で委任され機構が行う)を受け、公的年金に係る一連の運営業務(適用、徴収、記録管理、相談、裁定、給付など)を担う。
※ 標準的な年金事務所の組織
所長・副所長・厚生年金適用調査課・厚生年金徴収課・国民年金課・年金記録課・お客様相談室
…ご清聴ありがとうございました。質問を気軽にお寄せ下さい  srkanemaru@me.scn―net.ne.jp    …

制作発信 社会保障・安全衛生コンシェルジェ 特定社会保険労務士 金丸亜紀雄

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