どんとこい有給休暇  強制的に有休をとらせたいが?

社会保障相談室128

業務に定期的な閑散期が毎月必ず数日ある。
これをどう取り扱うか迷っています。

①いっそ休日にしてあげたい
ただし、週休2日、夏休も年末年始休暇もある
それらに加えて2から3日間程休日になる
従業員は喜ぶだろうが、問題点とかありますか。

②それ以外に強制的に有休休暇をこの時期取らせることはどうだろうか?
休みに変わりはないし問題が何かありますか
やはり強制など出来ないのではとも思っています。

どのような取り扱いが望ましいでしょうか?

回答

結論から回答します。
絶対その閑散期は、有給休暇の計画的付与対象期間とすべきです。

貴社の休日については週休2日、夏休、年末年始休日と充実しています。
慶弔等の特別有給休暇も整備されています。
しかし必ずしも年次有給休暇の消化は芳しいものでなかったですね。

そこで提案ですが、その閑散期を有給休暇の計画的付与期間と設定してみたらいかがでしょうか。
従業員には実質休める日が増えるので歓迎されますし、有給休暇の取得促進の著しい効果例として貴事業所は模範的なモデルケースとなるでしょう。

Ⅰ、休日を増やす案のメリットとデメリット

①効果
休みが一日増えることの最大のメリットは、正に趣味の時間や自分の時間が増えることで、プライベートの充実に繋がります。
趣味の時間としてだけでなく、仕事以外での勉強やイベント・セミナー参加、副業といった新しい能力や感性を磨く時間にも使えることから、人間幅も広がり、仕事に活きてくる可能性もあるでしょう。

勿論家族とのふれあいという人生一番重要な時間が増加します。

通勤地獄からも解放されることもとても重要なことです。

このように効果は絶大で心身ともにリフレッシュした状態で仕事に取り組めるため、仕事に対する意欲がUPしたり、集中力がUPしたりと仕事にも大きなメリットをもたらしてくれる。

②デメリット(休日が多ければ多いほど)

労働義務のない休日を増やせば、1ヶ月の平均労働時間が少なくなりますので、その分残業代の計算単価が上がることとなります.
すなわち、単純に考えると、休日を少なくすれば残業代の額は安くなることになります

年間休日が130日社と年間休日120日社の場合、割増賃金の時間単価は130日社の方が高いということになります。
月給30万円の両社だが…
130日社= 労働時間 8時間 年間休日130日 の残業の割増賃金時間単価 2,394円=高い
120日社= 〃         年間休日120日 〃          時間単価 2,298円=低い

105日社とも対比してみる…
休日120社の場合の月平均所定労働時間は時間142時間間=高い
休日105社の場合は月平均所定労働時間はなん173時間となります。=低い
分母月平均所定労働時間が多いほど単価は減じます。
すなわち休日120社の方が休日105社より時間外単価は高くなってます。


時間外単価…
以下のように分母の平均所定労働時間を増やせば時間外単価は低くなる:すなわち休日が少ないほど労働時間は増え時間外単価は減る…

割増賃金単価 = (基本給+各手当) ÷ 1か月の平均所定労働時間※ × 割増賃金率
※1か月の平均所定労働時間 = (365日又は366日-年間所定休日数) × 1日の所定労働時間 ÷ 12か月


Ⅱ、年次有給休暇の計画的付与制度導入案

根拠  労働基準法第39条第5項

有給休暇の計画的付与とは、予め使用者が、休日を指定しておきその日を有給休暇とするものです。
ゴールデンウィークや8月の連続休暇時に本来の公休日や祝日に休暇を加算する場合等に利用されています。

但し全ての有給休暇を計画的付与の対象には出来ない。
従業員が病気その他の個人的事由による取得ができるよう指定した時季に与えられる日数を留保しておく必要があるためです。
 年次有給休暇の日数のうち5日は、最低個人が自由に取得できる日数として必ず残しておかなければならない。
労使協定による計画的付与の対象となるのは年次有給休暇の日数のうち、5日を超えた部分となります。

 例えば、年次有給休暇の付与日数が20日の従業員に対しては15日までを計画的付与の対象可能。
 
年次有給休暇の計画的付与制度の導入には、就業規則による規定と労使協定の締結が必要になります。

(1)就業規則による規定
 年次有給休暇の計画的付与制度を導入する場合には、まず、就業規則に「5日を超えて付与した年次有給休暇については、従業員の過半数を代表する者との間に協定を締結したときは、その労使協定に定める時季に計画的に取得させることとする」などのように定めることが必要です。

(2)労使協定の締結
 実際に計画的付与を行う場合には、就業規則の定めるところにより、従業員の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で、書面による協定を締結する必要があります。
 なお、この労使協定は所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。
 労使協定で定める項目は次のとおりです。
・ 計画的付与の対象者(あるいは対象から除く者)
・. 対象となる年次有給休暇の日数
・. 計画的付与の具体的な方法
・ 対象となる年次有給休暇を持たない者の扱い
・ 計画的付与日の変更

従業員が時季指定権を行使する余地はないので、組合員がその日に年休をとりたくないと主張しても、労使協定に定めた計画どおりの年休を付与すれば問題ない。


年次有給休暇の計画的付与制度は、その方法によって、貴社に提案したような(1)企業もしくは事業場全体の休業による一斉付与方法、
(2)班・グループ別の交替制付与方法、
(3)年次有給休暇付与計画表による個人別付与方法、の3つに区分されます。
計画的付与の実施にあたっては、これら3つの方法の中から、各企業の実態に応じた方法を選択します


制作発信 社会保障・安全衛生コンシェルジェ 特定社会保険労務士 金丸亜紀雄

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