パート、アルバイトさんの社会保険料見直しポイント   社長さん留意点シリーズ

社会保障相談室119

パート、アルバイトさんの社会保険、労働保険等での見直し、注意事項などアドバイスお願いします。

回答

ただでさえ細かく面倒な社会保険、労働保険手続き。
更に一般職員正規職員と臨時、パート、アルバイトさんとの手続き事務取扱いの違うことなど加わり社長さんが頭を悩まします。

Ⅰ、まず年1度の社会保険料算定基礎届事務を見てみましょう。

4月から6月までの総支給額で標準報酬が決まり社会保険料が決定します。
これを定時決定という。
基本給に大きな変更が生じて3カ月経過したときが随時決定という。


パート、アルバイトさんなど時間給の方々は正規職員のそれと違う注意点があります。

★時間給の方は時間単価が変更したとき…
(時間数や労働日の増減による変化は対象ではない)
=月に17日以上勤務した日が連続3カ月あると改定対象になるので注意。
⇒随時改定で標準報酬が上がることはあるが、下がることはまずないだろう。
ここが社会保険料に直結するので社長さん留意点。


★パート、アルバイトさんの定時決定
4月~6月の3カ月間に支払基礎日数が15日以上の月が1カ月以上あることで初めて対象。
ない場合は従前のままとなる。

(1)4月、5月、6月の3か月間のうち支払基礎日数が17日以上の月が1か月以上ある場合

該当月の報酬総額の平均を報酬月額として標準報酬月額を決定します。

(2)4月、5月、6月の3か月間のうち支払基礎日数がいずれも17日未満の場合
3か月のうち支払基礎日数が15日以上17日未満の月の報酬総額の平均を報酬月額として標準報酬月額を決定します。

(3)4月、5月、6月の3か月間のうち支払基礎日数がいずれも15日未満の場合
従前の標準報酬月額にて引き続き定時決定します。



Aさん=従前20万円  4月16万15日  5月16万15日  6月16万15日定時決定され新たに16万円

Bさん=従前20万円  4月10万14日  5月10万14日  6月20万20日⇒定時決定され再度20万円

Cさん=従前20万円  4月10万14日  5月10万14日  6月10万14日対象外  従前のまま20万


▽結果  社会保険料に大きな影響が…

Aさんは15日以上の月が連続し、賃金平均16万円で標準報酬も16万円に変更されます。
Bさんは3カ月の平均は16万円なのに、6月だけが15日以上20万円なので標準報酬は20万円となってしまいます。
Cさんは1平均10万円なのに15日以上の月がないため標準報酬は従前が適用され20円のままです。

給与が低い方が定時決定で高く決定され、従った保険料に大きな差が生じました。


短時間就労者の定時決定詳細

短時間就労者=
パートタイマー、アルバイト、契約社員、準社員、嘱託社員等の名称を問わず、正規社員より短時間の労働条件で勤務する人をいう。

日給制・時給制=出勤日数が支払基礎日数となります。
(有給休暇を取得した場合は、出勤日数に含めます。)

標準報酬月額を算定する際に、対象となるのは支払基礎日数が17日以上の月です
17日未満の月がある場合は、その月を除外して平均を出します。
パート・アルバイトなどで4月・5月・6月とも支払基礎日数が17日未満の場合(17日以上の月がない場合)は、支払基礎日数15日以上の月で平均を出します。


 例 4月:20日/25万 5月:18日/23万 6月:20日/25万 3ヶ月の平均で24万3333円→標準報酬月額24万円

   4月:20日/25万 5月:16日/22万 6月:20日/25万 4月と6月の平均で25万円→標準報酬月額26万円

   4月:17日/20万 5月:15日/17万 6月:16日/19万 4月だけで20万→標準報酬月額20万円

   4月:16日/19万 5月:15日/17万 6月:16日/19万 3ヶ月の平均で18万3333円→標準報酬月額18万円

   4月:16日/19万 5月:15日/17万 6月:14日/16万 4月と5月の平均で18万円→標準報酬月額18万円

 月途中の入社の場合、その月の報酬は、通常の額ではないので、その月は除きます。
 例 4月:20日/20万 5月:30日/28万 6月:31日/29万 5月と6月の平均で28万5000円→標準報酬月額28万円

 単純に計算しない場合

 算定対象期間中に休職した場合や、遡って昇給分が支給された場合など、通常の定時決定の方法でで平均を出すと問題が生じる場合があります。

この場合は、修正して平均を出して、標準報酬月額を決定します(保険者決定)。

・昇給の差額分が支給された場合:例えば、4月に1月からの昇給分2万円(5千円×4)が支給された場合。4月25万5千円 5月24万円 6月24万円の場合は、単純に平均した24万5千円ではなく、3ヶ月分の遡及分1万5千円を除いて計算し、平均は24万円です。

・育児休業期間中で、賃金を全く受けないときは、それまでの標準報酬月額とします。

・年4回以上支給される賞与がある場合。
例えば、四半期毎にボーナスが支給される場合は、過去1年間のボーナス総額を12等分して、毎月の金額に加算して標準報酬月額を算定します。
過去1年間の賞与が120万円の時は12等分した10万円を加算して計算します。
年3回までの賞与は標準賞与の対象ですので、12等分しません。

 定時決定の対象とならない人

 7月1日現在被保険者の人は休職中の人も含めて定時決定の対象ですが、6月1日以降に資格を取得した人は、翌年8月まで資格取得時の標準報酬月額を使います。
4月から6月の間に、基本給などの固定的賃金に変動があった人で、随時改定の対象となる場合は、定時決定ではなく随時改定による月額変更になります。



Ⅱ、次に労働保険料の違いです。


①年度更新の違い

毎年恒例の労働保険料年度更新事務の際、正規職員と臨時職員は分けて賃金総額を計算します。
加え、臨時の中で雇用保険に加入中の者は別に計算します。
雇用保険加入臨時と加入していない臨時の賃金総額を別々に計算報告しなければなりません。
これが面倒ですね。



②雇用保険の退職時の離職票作成ポイント  留意点
  
これも正規職員と時間給者では記載欄が違いますので要注意。
賃金月額だけでなく実勤務日数も毎月記載しなければなりません。

【提出書類】

「被保険者離職証明書 【雇】」

★記入例

※8~9欄には、賃金支払基礎日数が11日以上の月を12ヶ月以上

※10~12欄には、賃金支払基礎日数が11日以上の月を6ヶ月以上

◎12欄B欄に時間給者は賃金額(月の総支給額)が入ります。
ここのA欄には月給者の賃金額が入る。
月給者は11欄は31日など暦通り日数、しかし時間給者は実勤務日なのが最大の留意点。
実務上やっかいこの上ない。

※1枚で書ききれない場合には、別葉の離職証明書を続紙としてください。

基本手当をもらうには、次の条件が定められています。

<短時間労働被保険者の場合>
短時間労働被保険者の場合>
A. パート、アルバイトの仕事から離職したが、働く意思と能力があるけれど職に就けないとき。
B. 離職直前の2年間で、1カ月あたり11日間以上働いた月が、通算して12カ月以上あるとき。
つまり、24カ月間で11日以上働いた月が、とびとびでもいいから合計して、12カ月あればよいのです。

参考までに<一般被保険者>の場合もあげておきます。
ア. 離職したが、働く意思と能力があるけれど職に就けないとき。
イ. 離職直前の1年間で、1カ月あたり14日間以上働いた月が、通算して6カ月以上あるとき。



③育児休業手当を受給するうえでの手続き「休業開始時賃金月額証明書」のちがい

ここも上記に述べた違いがあり面すので注意下さい。
⑧欄、⑩欄には実勤務日を記載し、⑨は〆で計算される期間、そして⑪欄のB欄に時間給者賃金が記載される。


以上 時間給者(臨時、パート、アルバイト者)と月給者との相異実例を記載しました。
ことほど左様に細かく面倒。
今後も非正規職員、臨時、パート、アリバイトの就労方式は拡大一方でしょう。
こんなところにも社長さんは留意しなければなりません。
コア業務に神経を集中しなければならないのにこのような事務作業に当たっていてはもったいない。
社会保険労務士を活用されるのも最良の手法でもあります。

ブログ発信 社会保障・安全衛生コンシェルジェ 特定社会保険労務士 金丸亜紀雄

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