解雇を5人出したら会社は間違いなく破綻する…千代田加工建設事件最高裁判決は示している

社会保障相談室113

解雇が出来ないとのこと。
問題職員がいて困ってます。
職場環境、対外側面から総合的に解雇せざるを得ないと考えてますが…
事業主仲間から解雇だけは考えろと言われ注意されています。
どういうものなのか?

回答

解雇はもちろん出来ます。
しかし簡単ではない。
おそろしく難しい。
そのことを十分承知して、経営者として心して立ち向かえば難関越えられるでしょう。

解雇について有名な判例があります。
千代田加工建設事件です。
平成5年2月26日最高裁判決。

特定部門の子会社化と当該部門の従業員の移籍が行われた際に、移籍を拒否した1人を解雇したケース。
裁判所は、子会社化および移籍という施策自体には経営上の合理性があるとしても、大半の従業員が移籍に応じた以上、会社はすでに経営規模の縮小を達成しており、残る1人を解雇するまでの必要性がないとし、また、会社側の「他の労働者が転籍に応じているからといって転籍に応じない労働者を解雇しなければ不公平」という主張を排斥した。
判決は「企業の業績不振または業務縮小に伴う人員削減が、希望退職、出向、配置転換、自然減による欠員の不補充などの任意的手段で行われるのではなく、解雇という方法で行われるときは、労働者はその責任のない事由により意に反して職を失い、生活上重大な不利益を受けることになるので、そのような事態が是認され得るには、解雇時点において使用者側に合理的かつ客観的に是認される程度の人員削減の必要性があり、解雇に至るまでに解雇を回避するための諸措置をはかる努力が十分なされたこと、経営危機の実態や人員削減の必要性等について労働者側に十分な説明をし、協議が尽くされたことなどの条件が満たされなければならない」と述べて、転籍拒否者の解雇を無効としました。

 会社側の都合で整理解雇することについては、「当該企業の規模、業績、人員削減の必要性、緊急性の程度、希望退職や自然減による他の職種・職場における欠員の可能性、本人の職種転換の能力、職種転換に要する訓練等の費用・時間などを総合的に考慮し、その者を雇用し続けることが企業経営上なお相当に困難であり、その者の解雇が労働契約上の信義則を考慮してもやむを得ないと認められる場合」である必要があるのです(右判決からの引用)。


その結果…会社が蒙った金銭的損害

2011年10月解雇→2013年11月2審敗訴=解雇した被告に対し会社は合計1,350万円を支払いました。

被告の月給は30万円でした。
まず裁判所は係争中の被告に会社は賃金の仮払い、1回目420万円(2012年3月仮処分~2013年5月1審敗訴までの間分)、2回目180万円(2013年5月~2013年11月2審までの間分)を支払うよう命じました。

そして最高裁で解雇無効により、解雇した2011年10月からの賃金全額750万円を支払うよう命じました。
賃金仮払いと正規の賃金は重複します。理不尽とも思いますがこれが司法の裁きです。


神奈川県社会保険労務士必須研修会から
講師  弁護士 向井 蘭先生

①退職トラブルの原因は期待

ユニクロや和民に入社しても深刻なトラブルにはならない。
それはあまりにも両社がブラック企業として有名であり、入社する従業員は快適な労働環境など全く期待していない。
厳しい、劣悪な労働環境を覚悟して入試に向かい晴れて入社する。
だから「なるほどひどいや」と期待が幻滅に替わることはない。

②深刻なトラブル発生しやすい企業とは

それに反し、給料が良く、仕事の負担が軽い、経営者の人柄も良い、会社の歴史が長い、勤続年数の長い職員が多い→こういう会社に入社した職員は皆期待いっぱいである。
それが裏切られればこれは深刻になる。

③トラブル発生する恐れのある人

正規職員で
▼扶養家族多い、一人で家計を支えている
▼再就職先がない、再就職で大幅に減収
▼多額のローン持ち
▼経営者の親族
▼ギャンブル好き

④トラブル起こさない人

○パート・アルバイト
○親元で暮らしている
○扶養家族いない
○とも働き
○転職容易
○60歳以上
○派遣


では経営者はどう対策を練るべきか

①解雇理由、材料を丹念にノートに精密に記録
②問題行動、注意、指導、→再犯→具体的対応など手書きで記録、懇切丁寧にここまで本人の立場で態度を入れ替えるよう機会を与え指導した経過を記録
③懲戒処分10回重なっても解雇できないのである。放置すれば会社倒産の事態でも解雇出来ないことを承知してことに臨むこと。


制作発信 社会保障・安全衛生コンシェルジェ 特定社会保険労務士 金丸亜紀雄

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