管理職に昇進させ時間外手当をつけなくする算段だが…形だけの管理監督者では通用しません

質問

時間外を多くやるA社員ですが、いっそ管理職にして時間外手当に変え、管理職手当を支給しようかと考えています。10万以上残業手当出す月もあったが管理職手当は5万円程度です。

回答   社会保障相談室22

労働基準法41条2号で、監督または管理の地位にあるものは労働時間、休憩、休日に関する規定の適用除外を認めています。

時間外割増賃金、休日割増賃金の支払いは不要になります。

確かに時間外異常に多い社員を管理職に昇進させる作戦を採用する事業所もあります。
一度昇進させたら即時間外勤務がなくなった社員の例を聞き驚きました。しっかりした見上げた神経ですね。その方長生きするでしょう。

さて、問題は管理職に昇進させましたが、それがそのまま法上の管理監督者と言えるかと言うとそうばかりではありません。

名称管理職でなく、実態(職務と責任、勤務態様、待遇等)に照らして判断されます。
①経営方針の決定に参画し、労務管理上の指揮権限を有しているか?
 部下の人事考課権限を有するか、部門の統括的立場にあるかどうか
②出退勤について厳格な規制を受けず自己の勤務時間に自由裁量を有する地位にあるか
③職務の重要性に見合う役職手当が支給されているか、賞与は優遇されているか


管理職昇進後、独自の決定権も与えられず、上司の補佐で与えられた職務しか遂行せず、給料、勤務時間の取り扱いでも昇進前後でほとんど差がない状況の判例では(大阪地裁)管理監督者に該当しないとされています

このような判断基準や判例に照らすと、名称が管理職でもその実態が管理監督者に該当しない場合には時間外や休日の割増賃金の支払いが命じられる恐れがあります。

最近の大手飲食店店長、店長代理の勤務形態につて通常の出退勤:就業時間に拘束され自由はない、部下の指導こそすれ経営者と一対となった会社の方針を左右するような仕事には一切携わっていないことから管理監督者に当たらないとの判例もありました。

2005年12月  日本マクドナルド店長45歳が東京地裁提訴事案
2006年2月   文教堂店長43歳が横浜地裁提訴

日本マクドナルド、日本ケンタキーフライドチキン、セブンイレブンジャパン等の店長が労働組合を結成する動きも2006年報じられた


スカイラーク店長だった夫を亡くした妻が過労死裁判への支援基金を設立したのは200年も押し迫った12月であった。店長の労働条件をめぐる最近の動きをみるように実態と名目の管理職の相違には事業主として慎重の上にも慎重にすべきである。小を追い大を失うことのないよう心すべきである。

A社員の管理職登用について、上記基準に即した待遇、地位、職務としなければなりません。
通報された場合、労働基準監督署の臨検により支払いが命じられる恐れがあります。
早めの対応を準備してください。管理監督者にふさわしい人格、実績か、これから伸びる可能性ある人材か。熟慮してください。


時間外の多い場合、昨日も提案しましたが、許可制にするなどセーブするルールを決断されるほうが会社にとっても益になるかと思います。

トラブルがこの件で発生した場合は、基準、判例を良く推敲し、ケースとの比較で問題処理を行うこと、具体的には時間外勤務手当てを支給し早めの和解が有利化と存じます。



制作発信  金丸亜紀雄

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