競業他社への就職について就業規則上での制限は憲法22条職業選択の自由違反ではないか…社会保障相談室

質問

A勤務先をこの度退職します。しかし退職後のことを聞かれて、隣の市にあるB社に転職予定であることを話しましたら、同一県内の同業他社への就職は制限されていると言われ、退職金も支給されない旨通告されました。どういう行動を私はとるべきなのでしょうか。

回答 社会保障相談室⑲

転職先を規制することは憲法22条の職業選択の自由との兼ね合いから問題になります。
しかしあなたが競業他社B社に転職した場合、A会社に著しい不利を与える時は、職業選択の自由にもある程度制限が加えられることにもなります。

判例でも競業他社に就職した例に対し、退職金の不支給を認めたケースもあるし、逆に認めないケースもあります。
これらの判決を導く根拠として以下が考えられます。

○競業制限の内容が必要最小限の範囲であり、また当該競業制限義務を従業員に負担させるに足りうる事情が存するなど合理的なものでなければならない…大阪地裁

○上記判断の基準


①根拠とする就業規則上の規定が存すること(被用者と使用者の合意の存在)
②労働者の地位、職務内容(営業秘密に関わるなど競業制限を課すに相当なもの)
③前使用者の正当な利益を目的(当該労働者のみが有した固有知識、人脈、技術等の保護)
④競業制限の対象(同一職種への就労禁止)
⑤競業制限の期間、地域(不当に職業選択の自由を制約するものでないこと)
⑥相当の代償が与えられていること(各々の利益保護のバランスがとれていること)

あなたの会社の就業規則を見直し、ご自分のお仕事を分析し、置かれていた状況を確認した上で、上記根拠と次の判例を参考にお考えください。

リーガルマインド事件(東京地裁)
労働者の職務内容が使用者の営業秘密に直接関わる為、労働契約終了後一定の範囲で営業秘密保持義務を前提としない限り、使用者が労働者に自己の営業秘密を示して職務を遂行することが出来なくなる場合には、競業制限義務を肯定すべきである。

競業制限と就業規則退職金の減額条項のあり方についても色々判例があります。
最高裁判例では、競業制限と退職金の関係について、
「退職金の定めは、制限違反の就職をしたことにより勤務中の功労の評価が減殺されて、退職金の権利そのものが一般の自己都合による退職の場合の半額程度においてしか発生しないこととする趣旨であるから労働基準法の規定に何ら違反するものでない」と退職金減額を有効としました。

同業他社に転職、設立した者に対する退職金の減額、没収については、就業規則、退職規定への明確な規定が絶対必要です。

規定の合理性、必要性、範囲など競業行為の実態に照らして判断され、会社が蒙る損害など総合的な観点から本人の功労・実績などを減殺してしまうなどの顕著な背信性を有する場合に許されると解されています。

微妙な問題です。会社との話し合いいかんによってはお近くの社会保険労務士に相談をお勧めします。こじれた場合は労働局への相談、労働審判制度の活用など法的手段はありますが、そうなる前に社労士がお話に乗ってくれると思います。
また会社の方へは就業規則の作成などもご相談ください。備えあれば憂いなしと言います。
守って攻める就業規則は貴社に繁栄をもたらす格好な戦略武器でもあります。




制作発信 社会保障・安全衛生コンシェルジェ 特定社会保険労務士 金丸亜紀雄



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