出産を契機に退職するか、パートへの切り替えを考えています、手当金等上手に頂き問題なく行くアドバイスを

社会保障相談室109

正規の女性従業員です。
出産を契機に退職するか、パートへの切り替えを考えています、出産に関連する手当金や育児休業の給付金等上手に頂き、職場にも迷惑かけず問題なく行くアドバイスをお願いします?


回答

出産を控え心身重要な時期ですね、育児や家庭、そしてご自身の将来を考える時期でもあります。
今まで圧倒的にこのような女性に対し、冷たい国家政策がとられて来ていました。
少子化の進行、長引く不景気、政権交代等があり、うかうかしていられないと政治家や官僚も気が付き始め、ようやく働く女性の出産、育児環境に光が少しずつ当たって来ました。

先進国ではとっくに働く女性特に出産育児に取り組む女性を力強く応援する制度がとられてきました。
なにせ日本はこの面では後進国です。
小学校就学前の子供の育児・教育にかける公費は先進国中最低です。
多くの国は公費が私費よりずっと多く、日本は私費が70%程度。
女性の奮起が望まれます。


Ⅰ、まず出産日を中心にスケジュールと社会保障制度の利用を確認しましょう。

①出産日前42日間=産前休暇がとれます。

この休暇中はノーワーク、ノーペイの原則で給料は支給されなくなります。
それでは困るので健康保険法から「出産休暇手当金」が支給されます。
直前の賃金総額の3分の2と考えてください。
請求事務は会社が進めます。

②出産

出産一時金が健康保険法から支給されます。
42万円です。
これは病院の方で進めます。
不足分は自身で支払って下さい。

③出産後56日間=産後休暇がとれます。


産前休暇と同様な仕組みです。
ただし法律に基き、絶対に産後42日間は就労してはいけません。
自身が復帰希望しても、職場から要請されても重大な違反となります。
出産という重大事に取り組んだ母親の母体は心身のダメージが相当きたしています。
母体保護からの制度です。
42日後は医師の許可があれば復帰も可能ですが。

④産前産後休暇後から1年間ないし1年6カ月間=育児休業がとれます。

この間も賃金は支給されないので、雇用保険法から育児休業給付金が支給されます。
賃金額の前1年間のおおむね平均額の50%と考えて下さい。
請求事務は休業中の2カ月ごと行い、賃金台帳や出勤簿を毎度添付するなど会社に相当手間をとらせます。

⑤育児休業中は社会保険料納付が免除されます。
納付しないのに納付した扱いになってくれます。
来年からは出産休暇中も同様に納付免除になります。
ありがたい制度ですね。これも会社が手続きしてくれます。


このような手順で進めますが、産前産後休暇とその後の1年間は、会社に一日も行かずにそれなりに賃金代わりに手当金、給付金が支給されます。
これは、今まであなたが社会保険料と労働保険料を納付していたからです。
そして会社に勤務し誠実に仕事をこなしてきたからです。


さてその会社を退社するか、パート勤務体制への変更を考えているとのこと。
これは慎重にゆっくり考えてください。
会社にもよくよく相談しましょう。


Ⅱ、出産手当金と退職

退職後の出産は、原則は支給なしであるが、一定の条件を満たせば支給される。
条件
①1年以上継続して被保険者であったこと(2社とかの継続でも良い)
②出産予定日の42日前に在職中であること(産前産後休暇中の退職であること)
③退職日に出産手当金を受給できる条件を満たしていること。
(条件満たしていることとは、休業していることで、有給・無給は問わない。
退職日は出勤扱いにしてはならない。退職日当日に出勤せず、その日が産前・産後の期間内であれば良い。退職日当日については欠勤、有給休暇又は公休日である必要があり、出勤の場合給付は受けられなくなります)

簡明に言うと、一日でも手当金を受給していれば、または受ける権利(受給権)があるば(手続き中なら)、産前産後休暇中に退職しても法定の日数分(産前42日、産後56日)は全部受給出来る。事業主から退職を証明してもらい自己申請。


Ⅲ、育児休業給付金と退職

本休業給付金の支給条件は、雇用保険被保険者であること。育児休業期間中の雇用保険被保険者は給与が支給されず、したがって雇用保険料は発生しない空白期間となる。空白期間であるが雇用保険の被保険者にはなっている。

各支給単位期間(各2カ月間)の初日から末日まで雇用保険の被保険者であること。
1年間の受給を得てから退職すれば、返還も求められない。
しかし育休は復帰が前提であり、育休後即退職すると、これは会社に迷惑をかけるので社会常識:信義則の問題となる。逆に合議の上の場合はOKである。

期間中に退職すると即育児休業でなくなるので給付金は支給されなくなる。
各支給期間の期間中退職は不支給で、末日退職のみ支給可能となる。



Ⅳ、まとめ 退職のあり方、仕方


以上みてきたとおり退職しない場合は、健康保険からの手当金、雇用保険からの給付金とも満額支給されますね。
これは前からの貢献と今後への期待もあるからです。
事情が許せばせっかくの正規職員の待遇を確保しておきたいものです。
パート体制になっても仕事により会社が喜んで正規に戻して頂ける、例えば保健婦さんとか資格職もありますから。
パートから一部上場企業の取締役代表になった女性も出現してます。
退職については、会社への迷惑も考え慎重に時期を考えてください。


出産休暇と退職の関係ははっきりしています。
出産休暇に入った後早々に退職した場合は、会社には金銭的にも迷惑はかけません。
このような段取りを会社と話し合うことです。

育児休業休暇と退職の関係は、もともと育児休業自体が仕事を継続することが前提ですので、この期間中の退職を有利になどアドバイス自体ありえません。
相談の論外です。
退職すれば即育児休業給付金は当然なし。
そこで、せっかくの育休、給付金制度はしっかり活用し、育児休暇後職場復帰し、勤務形態をパートに変更する考え方のあなたには賛成します。
仮に復帰後1年から2年も過ぎ、両立難しく、育児にやはり専念したいので退職となれば、失業給付も考えられますので、いかがでしょうか。
育休後復帰し、すぐでは失業給付は資格ありませんし、職場への仁義もあるでしょう。
しかし2年もすぎれば事情は違います。
慎重にお考え下さい


制作発信 社会保障・安全衛生コンシェルジェ 特定社会保険労務士 金丸亜紀雄

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