「遺族年金 職業で差」の朝日新聞を分析・振り返る

再掲シリーズ  2007年6月21日発信ブログより…  



新聞を読んで…平成19年6月21日  朝日新聞21面 「備える」欄

「遺族年金 職業で差」と題して遺族年金の仕組みを紹介


制度の概要と、いくらもらえるかの試算図、また社労士さんの警告として親切に持ち家か賃貸かでその後が違うとか、支出を切り詰めるよう、貯蓄、生命保険で備えるよう助言されている。

この記事の下に「私の場合」という欄があり、30代の二人の女性の投稿記事がある。
失礼だがこのお二人のご意見の方が上の記者さんと専門家の書かれた記事より、よほど問題点をするどく指摘している。遺族年金制度の核心をついている。これは本当に深刻な事態に遭遇したからこそこの短い投稿記事の中で訴えていることが読者を考えさせられるのである。出来れば上の本稿でそのような問題点も書ききって欲しかった。

さて、遺族になった場合の年金について整理してみる。

国民年金法から
①遺族基礎年金  
②寡婦年金
③死亡一時金


厚生年金保険法から
①遺族厚生年金
②中高齢寡婦加算
③経過的寡婦加算


問題点:注意点…制度の内容は新聞に譲って、ここでは問題点課題点を検証する。

①遺族基礎年金について
「私の場合欄」でも指摘されているが、遺族基礎年金は子供がいない妻には支給されない。
18歳に達した年の3月31日までという年齢制限がある。障害者の場合20歳である。この18歳について私欄ではせめて20歳にして欲しいとの訴え。なお、子供のいない夫にはもとより支給なし。ここが遺族厚生年金との相違。(遺族厚生は55歳以上夫も受給権者となる)

小生の持論は、子供が2人目まで一人227,900円加算、3人目からは減額され70、590円となるシステムへの疑問。少子化対策に必死になっている政府ではあるが、せっかく呼応して3人目を誕生させたのに3人目も生んでとばかり15万円以上も減額させる制度にはいかがと思う。
逆にフランスなどでは3人目誕生はでかしましたねと年金が10%増しとなる。これこそ少子化対策でしょう。ぜひ3人目加算を増額させて欲しい。


また「私の場合」欄で「未納」だったので受けとれなかったことが告白されている。
そう、免除の効果絶大と本ブログでも書きましたが、これが未納と免除の大きく差がでるところ。
遺族、障害と基礎年金が万一の場合全額保障される免除申請者と、まったく支給なく精神的
に落ち込んだ方。その違いは余りに大きい。
保険料支払いが苦しかったのでしょうが、子供の顔を見て、もう一度考え直し、未納から免除を試み、更に正式納付しなければならないのではないでしょうか。

職業で差が記事ではテーマになっていたが、サラリーマンと自営業との格差是正の制度として存在しているのが国民年金基金制度
この制度では残された遺族に遺族一時金が支払われる。

遺族一時金は、保証期間のある終身年金A型と確定年金Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型に加入している方が年金を受け取る前に死亡した場合、加入時年齢と死亡時年齢及び死亡時までの掛金納付期間に応じた額の一時金が遺族に支払われます。
また、保証期間のない終身年金B型のみに加入している場合でも年金を受給する前に死亡した場合、1万円の一時金が遺族に支払われます。
● 遺族一時金が支給される遺族は、死亡時に生計を同じくしていた、次の1~6の順位の遺族となっています。
1 配偶者、2 子、3 父母、4 孫、5 祖父母、6 兄弟姉妹
● 加入期間が15年未満で基金を脱退した場合、国民年金基金連合会から年金または遺族一時金が支払われます。


遺族厚生年金について
平成19年改正で65歳以上者遺族に対する遺族厚生年金が有利な選択制から老齢厚生年金優先制になった。
自身の老齢厚生年金と遺族厚生年金及び2分の1、4分の3調整の3方式を計算し、一番有利な受給選択がなくなった。
遺族厚生年金は無税である。(介護は徴収されるが)しかし老齢厚生年金は税が懸かるし、在職年金で支給停止もある。
もっとも3方式比較の改正前保障はあるようですが

調整として注意したいのが、寡婦年金
(1)60歳から65歳までの5年間支給制度ですので、遺族厚生年金と比較し、高額な方を選択、また65歳になった時点で遺族厚生に戻る作戦も採用出来ます。
(2)死亡一時金と寡婦年金は併給されませんのでこれはご注意。高額な方の選択を。

遺族厚生年金は実態で……

(1)離婚していた元妻に遺族厚生年金支給
25年前の遺族厚生年金の裁定請求=これは月刊社会保険労務士2003年9月号に掲載されていた高知県の先輩社労士さんの苦闘記。死んでも死にきれないというある77歳の女性を救った話。
友人の連帯補償をしてしまい、借金対策で離婚していた妻に遺族年金は当初支給されなかった。しかし実態はお互い励ましあい、助け合っていた事実があったこと証明しついに遺族厚生年金が5年遡り支給されたのであった。25年間の念願をかなえた高知のA社労士さんに感動。



(2)内縁の妻と本妻が遺族厚生年金を争ったケース

ドキュメント社会保険労務士誌に掲載されている実例。
厚生年金保険法では3条3項に、事実上婚姻関係と同様であったものも含む規定があります。
最初の裁定は本妻と決定されたが、審査請求し第1回の審査官による敗訴、そして2回目の審査会は「別居開始時期、期間、離婚合意有無、経済依存関係状況、音信、訪問、36年間の内縁生活状況、住民票事実、子供の認知、入院から死亡までの両者の距離等々総合的に判断が下されついに内縁の妻に逆転決定、この過程を在京のK社労士さんがリードされていた苦労とねばりに感動。


人生は正に「事実は小説より奇なり」。様々な実態があるでしょう。税法等では戸籍とか住民票など法定資料が根拠となります。しかし社会保険は暮らしがどう営まれていたかの実態で決まります。困ったときの助け合い。社会保険制度を守っていかなければならない動機はここなあるのです。
 


制作発信 社会保障・安全衛生コンシェルジェ 特定社会保険労務士 金丸亜紀雄

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