第3の想定外を生んだ国民年金第3号被保険者制度誕生秘話。

Ⅰ、国民年金発足時の二つの想定外

国民年金に加入しなくても良いけど、念のため万一も考え、加入するよという方の為に、任意加入制度があった。
強制加入しなければならない自営業やその妻と違い、サラリーマンの妻は、夫の厚生年金保険に自分の分も加給金でついているので、別に困らないので任意加入としたもの。

しかし、想定外に、この任意加入者が多かった。
国民年金制度が発足した当時、二つの想定外が発生した。

その一つが前述したサラリーマンの主婦の予想をはるかに超えた任意加入
70~80%に及ぶと昭和36年4月2日付け朝日新聞は報じている。
実にうれしい船出であったのである


もう一つは革新団体や知識人インテリ層からの反国民年金運動
総評は不払い運動を先導し展開していると同朝日新聞は報じた。
実に厳しい船出でもあったのである。


しかし、その後、どちらが正しかったかはお分かりだろう。
台所を預かる鋭い主婦感覚の圧倒的勝利である
支払い保険料総額より、どの位多く受給、儲けたか。
10倍ではきかないでしょう。
革新団体や知識人インテリ層の言うことを信じた主婦が大変可哀そうなこととなったのはご存じのとおり。
2500万国民年金加入者の実に4分の1以上の660万人にも任意加入者は及んだ。


任意から強制の時代に

強制でもなかなか納付しない未納者が多い中、任意でありながら納付してくれる超優良被保険者であり、財政上も大貢献者、これは大事にしなければならない。
昭和61年年金大改革で、国民年金は全ての国民が加入しなければならなくなり、全員が強制加入となった。
そこでこれまでの超優良の任意加入者をどうするか、大問題だった。
全ての方に保険料支払ってもらうのだが、どうして支払ってもらうのか?


Ⅱ、知恵を絞り、議論が尽きなかった国民年金第3号被保険者制度誕生秘話。

K氏
国民年金制度が財政的に破綻した。税金を投入したいが、厚生年金保険や共済年金は自立しているのに国民年金だけ単独で税金を投入出来ない。
それぞれ自立して3本立て年金制度の建前が崩壊する。
なんとか国民年金と厚生年金保険と共済年金を形だけでも一緒の制度にならないか?
そうすれば国民年年金に税を投入してもおかしくないし、当分は崩壊をつなぎとめられる。


T氏
名案があります。
厚生年金保険、共済年金どちらにも幸い、報酬比例部分と定額部分があります。
報酬比例は実力主義ですが、定額部分は皆が同じ額になるような設計思想です。
報酬比例は国民年金にはなじまないが、定額部分は皆が同じようにしようという思想ですので国民年金になじむでしょう。
正に国民年金そのものですよ。


K氏
そうか、国民年金と、厚生年金保険の定額部分と共済年金の定額部分を連結させるのか。
名称は基礎部分をつなげるので「国民年金基礎年金」としよう。
その上に各制度があるようにすれば良いな。
3年金制度の基盤部分がこれで一本になる。
それぞれの制度が持つ細かい枝葉は調整しよう。
国民は誰もが国民年金に加入することとなる。これが1階。厚生年金保険と共済年金は2階立てとなる。
給付は1階の国民年金と2階のそれぞれの年金制度から支給される。


T氏
支給開始年齢など満65歳に皆同じにする。
いきなりではなく徐々に段偕的に移行する。

給付も同じく変らない。
しかし体裁上20歳から60歳までの分は基礎年金とする。最高額は一律にする。
少なくなってしまう場合は差額年金として厚生年金保険、共済年金として支給する。
変化は実質的にないので抵抗はない。

保険料は今までとおり各制度で徴収する。
その中に国民年金基礎部分が含まれている考え方です。
個人で納付するのではなく厚生年金保険全体、共済組合全体から拠出し納付するシステム構築します。
年度ごとの保険率の約5~4%程度が基礎部分とします。
これを厚生年金保険会計から国民年金基礎年金会計に基礎年金部分として拠出させます。

この際、国民年金の任意はなくし強制にする。
皆年金を完全にするには強制にするしかない。
女性の年金権確立とか強制導入の理由・根拠表現はむしろ前向きにすれば受け入れ易い。任意は満60歳以上など40年間以外の期間に加入する場合とします。


K氏
問題は専業主婦の任意だ。皆を強制にすると今まで任意加入していた主婦はどうなる。
せっかく任意加入していたのに。



実は、任意加入はありがたいが、問題もあった。
厚生年金保険制度は妻が専業主婦と想定し、夫婦二人分の老後所得を保障するように想定し設計されていた。
だからこの専業主婦が任意で加入し自分の年金を確保すると、現役時代より多い過剰給付、財政負担圧迫の恐れもあった。
専業主婦の任意制度は考えものだった面もある。
それと一番怖いのは、今まで超優良だったその任意加入者は、支払う保険料よりはるかに高い年金給付が受けられると確信して任意加入して来た。
それが今回の改正で、国民年金財政が危機状態で、今後急速に給付額が低くなるのが分かってしまった。
一斉に加入しなくなる恐れがある。
未納者も多くなるし、財政上も問題だ。これは防ぎたい。
任意加入していた主婦をつなぎとめておくにはどうすれば良いか。
その回答が、第3号の保険料なし案です。



K氏
いくら全体で納付といっても、個人とっして見ると、サラリーマン妻は3号で保険料負担なく、自営妻は1号で負担ありとなると、これは不公平感が生まれないか。


T氏
納得させる材料ですが、まず①第3号者用年金財源第一の部分誕生は夫の犠牲から生じさせます。以下…

厚生年金保険の年金計算の乗率を61年改正で下げた。1000分の10から1000分の7.5とした。夫の年金は全体で40%抑制された。その分が妻3号の部分となった。

次に②第3号者用年金財源第二の部分誕生は厚生年金保険加入者全体でカバーさせます。
厚生年金保険の保険料率のうち約4%が国民年金基礎年金勘定に拠出される。
夫と妻の二人分充当させるが、妻を3号でなく自立して支払うこととすれば、国民年金保険料分が約1、1%であり、基礎年金勘定への拠出金は2.9%で済むことになる。

つまり、このことから3号被保険者の妻さんは1号妻さんと同じように勘定面での不公平は全くないのです。
ただし、妻持ちも妻なし独身者もOLたちも厚生年金保険料は同じであり加入者皆で負担しているのであり、国民年金を救うための非常手段ですので、1号さんから感謝されても不公平とは言わせないものですが、それでも勘定!でなく感情としては不公平感が生じるのはいなめないでしょうね。


①70%以上任意に加入している現状から、強制にしてもそれほど問題ないのでは?

②いや、残る30%の中には、夫の収入が低く、保険料を満足に納められない主婦も多いのでは?

③全サラリーマンの収入調査を行い、保険料負担能力有無認定作業は到底不可能

④納められる方々でも保険料の納め忘れや滞納もあるだろう

⑤そこで、現実的・実際的方法として、厚生年金保険加入のサラリーマン妻は今後保険料納付を要しないことにし、夫の厚生年金保険保険料の中に、妻の保険料も含まれていることとした。


⑥同じ収入なら妻の有無にかかわらず同じ保険料ともなったが、これは個人別でなく、全厚生年金会計から基礎年金拠出金制度として一括国民年金会計に払い込むことで解決させた。


⑦サラリーマンの妻だけ第3号で自ら保険料納付しないで給付受けられるのは社会保険制度の理念からおかしいのでは?

⑧これには、サラリーマン厚生年金保険加入者は、これまで妻分の加給金がついていたが、今後、妻国民年金受給の際、夫の年金から消滅させて、これを妻に移行させ、その分、第3号被保険者として、保険料納付を必要しないこととさせ根拠とした。

⑨欧米でも年金は、夫の拠出に基づき、妻自身の年金が支給されている。我が国の厚生年金保険も同様に、妻分も包含されている発想を導入させたのである。

⑩それなら妻がいる被保険者と妻なし独身被保険者の保険料に差を設けたら?
⑪いや、健康保険でも妻ありなしで保険料の差はない。いくら子供がいても同額だ。

⑫それに妻有無や子供数など保険料率差を設けると事務量がとんでもないことになる。



Ⅲ、第3の想定外発生


長年任意にもかかわらず、せっかく多数のサラリーマン妻が加入してきた経過、老後を考え、自ら保険料納付し、国民年金の自助努力、自己責任の貴重な意識が育って来ていたのに、第3号制度:すなわち強制加入し納付なしへの移行は、これはあまりにも惜しかった、議論が尽きなかったと当時の厚生省担当者は率直に語っている。


昭和36年国民年金制度創設から四半世紀経った昭和61年の年金大改革

新たに設けられた第1号、第2号そして第3号被保険者制度、その中でも第3号被保険者の扱いについて、社会保障制度審議会委員として長年制度全般にタッチしてきた故今井一男氏も「今回のサラーリマン妻の取り扱いには最後まで疑問符付だ、特に届出制にはうまくゆかないのでは」と危惧を寄せていた。>
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◎この心配はすぐに当たる。
保険料を支払わなくて良くなったサラリーマン妻軍団は即国民年金自己責任自助努力理念を喪失させてしまい大問題を起こす。なにせ約1,200万人もの軍団だった。
この1,200万人が、種別変更届、取得届、喪失届きちんと行ってくれるか。
社会保険庁のチラシ刷って置くだけの啓発心得ではあまりにも無理な注文だった。

▼新たに3号となった届け、3号から1号になった届けなど全く無頓着になってしまった。
無届だったため、3号でなくずっと未納のままの記録の妻が続出したのだ。

■これこそ前述した想定外、正に第3の想定外騒動の発生だった


第3号になるためにはご自分で社会保険事務所、市役所国民年金担当課への届出が必要でした。
しかしこれをやらない、知らなかった妻たちがものすごく多かった。
届けなければ未納。
年金を受けるに必要な資格期間に未納はならない。
いざというとき不足となり大変な事態に。多数の主婦が遭遇してしまった想定外。
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国会でも大問題となり、ついに特例で過去に戻って特例で届け出が可能にした


第1回目のチャンス。


平成7年4月~平成9年3月までの間に「届出があれば過去の分すべての三号機間として認めてくれました。
この時市役所国民年金課、社会保険事務所には主婦が押し掛け、形相もすごく必死の行列。
想定外の行列だった。
しかしこれだけの騒動になっても、まだ届け出ないで未納のままの主婦が多数残った。


そこで個人ではだめだと悟り、平成14年4月から、個人で行う第3号加入手続きは、夫が配偶者の勤務する事業所が行うこととなった。



2回目のチャンス

それでも残る3号手続き未済の方々に親切にも、さらに平成17年4月からは、昭和61年4月~平成17年3月までの第3号被保険者未届・未納期間について、届出がある場合などは保険料納付済期間とすることとなりました


3回目のチャンス

残る届け未済者に対し現在もこの届出を受けている。
何事でも3回まででしょう。もうできなくなるでしょう。そろそろ。
まだ3号手続きしていない方は絶対に即行うこと。
意識が低すぎます。お上かませにも程があります。

この特例届出の正式名称は「国民年金第3号被保険者該当申立書」
住民票謄本、所得証明書などを添付して年金事務所に提出します。


国民年金法「届出」第12条 

被保険者(第三号被保険者を除く。次項において同じ。)は、厚生労働省令の定 めるところにより、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並び に氏名及び住所の変更に関する事項を市町村長に届け出なければならない。

2 被保険者の属する世帯の世帯主(以下単に「世帯主」という。)は、被保険者 に代つて、前項の届出をすることができる。

3 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第二十二条から第二十四条ま での規定による届出があつたとき(当該届出に係る書面に同法第二十九条の規 定による附記がされたときに限る。)は、その届出と同一の事由に基づく第一 項の規定による届出があつたものとみなす。

4 市町村長は、第一項又は第二項の規定による届出を受理したときは、厚生労働 省令の定めるところにより社会保険庁長官にこれを報告しなければならない。


 第三号被保険者は、厚生労働省令の定めるところにより、その資格の取得及び 喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を 社会保険庁長官に届け出なければならない。


6 前項の届出は、厚生労働省令で定める場合を除き、厚生年金保険法の被保険者 である第二号被保険者の被扶養配偶者である第三号被保険者にあつては、 その配偶者である第二号被保険者を使用する事業主を経由して行うものとし、 国家公務員共済組合法若しくは地方公務員等共済組合法の組合員又は私立学校 教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者(以下「私学教職 員共済制度の加入者」という。)である第二号被保険者の被扶養配偶者である 第三号被保険者にあつては、その配偶者である第二号被保険者を組合員又は加 入者とする国家公務員共済組合、地方公務員共済組合又は日本私立学校振興・ 共済事業団を経由して行うものとする




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