遺族厚生年金が少なくなってしまった、何故? 心配で心配で…  年金相談で一番多い遺族年金の減額不安

年金相談で一番多い遺族年金の減額不安

社会保障相談室87


遺族厚生年金の金額が少なくなってしまったがどうして?
65歳になり、基礎年金が支給されると楽しみでした。
それなのに遺族厚生年金が大幅に減額、これから心配です。


回答

あなたの65歳からの遺族厚生年金は2つの理由により減額となります。
しかし同時に増額要因が2つあるので結果は64歳までよりずっと多い額となります。
ご安心を。

遺族厚生年金65歳減額理由

理由1、あなたは亡くなられた夫の遺族厚生年金を受給していましたが、プラスして中高齢寡婦加算(厚生年金保険法第62条)がついていました。
金額は定額で594,200円でした。

40歳から支給されていましたが、これが65歳になると消滅し、代わって経過的寡婦加算(厚生年金保険法附則第73条)となるのです。
金額は受給者の年齢によります。
591、700円から19、700円まで1年毎に刻まれ例えば昭和20年4月2日生まれは217、000円、昭和25年4月2日生まれは118、400円となっています。
徐々に少なくなっているのです。
そしてついに昭和31年4月2日以降の方には全く支給されません。ゼロになるのです。

昭和31年4月1日以前生まれの方だけに支給されるものとなっています。念のため。

何故昭和31年4月2日生まれ以降は経過的寡婦加算をもらえないのか?
この辺の事情は次回詳しく「国民年金任意と強制の峻烈格差」というテーマで説明の機会を作ります。
今迄定額だった中高齢寡婦加算が年齢別に少なくなる経過的寡婦加算に代わったこと、これが減額理由の1です。

理由2、貴方自身の老齢厚生年金を65歳から自動的に受給しますので、この金額分遺族年金が減額となるのが理由2です

平成19年4月施行の法改正により、それまで「65歳以上で遺族厚生年金と自身の老齢厚生年金の2つの受給権を有する人は、3つの選択肢から受給方法を(額が多いほう)選択するものでした。

しかしこれからは65歳になると、まず自身の老齢厚生年金を優先支給し、それに伴い自動的に改定されることとなりました。
選択の余地はありません。
つまり遺族厚生年金から自分の老齢厚生年金分が差し引かれるのです。
だから全体の額は変わりません。遺族-老齢+老齢→老齢+(遺族-老齢)…同じですね。

今までの遺族厚生年金=老齢厚生年金分がが差し引かれた新しい遺族厚生年金+老齢厚生年金となります。


遺族厚生年金65歳公式(金丸式65歳遺族年金シート)

Ⅰ、遺族厚生年金の減額公式=A-B+C-D

A=今までの64歳時遺族厚生年金の額 例 1、360、200円
B=中高齢加算の額                 594、200円(定額)
C=経過的寡婦加算額                237、800円(生年月日によります) 
D=貴方の老齢厚生年金  136、400円

1、360、200円-594、200円+ 237、800円-136、400円=867、400円  
すなわち493,000円の減額です。


Ⅱ、65歳 基礎年金と老齢厚生年金増額公式

新遺族年金+E+F=65歳からの年金

E=老齢基礎年金 772、300円
F=貴方自身の老齢厚生年金  136、400円

867、400円+772、300円+136、400円=1、776、100円
すなわち64歳時より415、900円の増加です。 ご安心を。


65歳から遺族厚生年金より老齢厚生年金を優先する理由:背景

※根拠法=厚生年金保険法附則第17条の2第1項「老齢厚生年金等の受給権のある配偶者は65歳に達している者に限る」…この規程は配偶者に限られ子供が死亡し66歳の母親が受給しているような場合には該当しない。

※何故このような改正が行われたのか。゛聖域維持か財政上の要請か゛


①老齢厚生年金の選択制から優先制への意味


建前は「自身が納めた保険料を出来るだけ年金に反映させたいこと」「遺族年金という年金の存在を薄め、自分が働いて形成するところの老齢年金の存在意味を重視させる」方向と言われています。

しかしブログ氏は遺族厚生年金は聖域であり、就労しても在職老齢年金制度は影響されず、減額されない、又税金も掛からなかった。
残された心細い妻には本当にありがたい存在だった。

しかし老齢厚生を優先させたことで在職老齢年金制度を適用させ、減額させることが出来るようになった、又税金も掛けることが出来るようになった、その分減額させることが出来る。
財政上の要請に見事に応えた。
残された妻に犠牲になってもらう…これが真相ではないか。
日本の有権者はおとなしいし…


②無期から有期へ

聖域だった遺族厚生年金にもついに効率化の手が入りました。
平成19年改正の驚くべき遺族年金改正その2。

法第63条第1項第5号改正=夫死亡時30歳未満の妻に子がない場合5年有期遺族年金となりました。

今まではこのような妻へも無期終身の遺族厚生年金が支給されていました。
もちろん結婚したら失権することはありましたが。
この終身無期の遺族厚生年金がついに5年の有期となったのです。
遺族厚生年金の新しい考え方でもあります。

若い女性の方の本件への意識はどのようでしょうか。
このような改正がとても国民の理解を得たものとは思いませんがどうでしょう。
問題はほとんどの女性がこの改正を知らない、興味も持っていないことです。
もっと問題は国はこのことを周知徹底する努力を余りしていないこと、またジャーナリズムも遺族厚生年金の不利な改正を報道する努力を怠っていることでしょう。




改正前
夫(被保険者期間20年以上か中高齢の特例該当要件あり)死亡時、
妻が35歳以上65歳未満
又は妻35歳に達した当時子と生計同じくしていた場合、
→中高齢寡婦加算が40歳から65歳まで支給される。

改正後
35歳が40歳に変更された。

夫死亡時妻が40歳以上65歳未満であること、
妻が40歳に達した当時子と生計同じくしていること
この場合中高齢寡婦加算が65歳まで支給される。

例えば
…子のいない妻が37歳当時夫死亡した場合
改正前なら3年間待機し40歳から中高齢寡婦加算受給

しかしこのような妻に改正後は加算されなくなった。
40歳から65歳までの年齢要件を満たさないからです。
厳しい。

妻が30歳の時夫死亡した場合、子供がいると、改正前なら遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給していました。
妻が38歳になり、子供が高校を卒業するようになると遺族基礎年金は消滅しますが遺族厚生年金に40歳から中高齢寡婦加算が支給されるようになっていました。

改正後
このような場合妻に中高齢寡婦加算は支給されなくなりました。
何故なら40歳時点での要件を満たさないからです。
この妻は40歳時点で子がいないからです。
つまり年齢が40歳以上か40歳時点で子がいるか。
どちらかが要件ですから。

この妻は30歳時点で夫死亡したもので、まず年齢要件がはずれる、次に38歳で子供高校卒業=18歳に達した日を含む年度に達して、子供がいない状態。

同じ30歳の妻に改正前は594、200円が40歳から65歳まで支給され続け、改正後は全く支給なし。

夫が死亡時40歳未満で受給可能の条件はただ一つ。
例えば25歳妻なら子供が2歳、これなら40歳時点で子供18歳未満でぎりぎりセーフ。
中高齢寡婦加算受給となる。
40歳未満でも子供が18歳になったとき40歳以上ならOK.


例1、30歳妻 子あり(妻38歳で子供18以上に)

 改正前  35歳以上の年齢要件はずれるが35歳時点で子供あり→中高齢寡婦加算OK
 改正後  40歳以上の年齢要件はずれ、40歳時点の子供要件もあずれ→NO

例2 37歳 子なし

改正前  35歳以上の年齢要件適合 →OK
改正後  40歳以上の年齢要件はずれ、40歳時点子供要件はずれ→NO

つまり改正後中高齢寡婦加算は受給がかくも難しくなった。

このような法律改正を女性はどう見ているのでしょうか。
法律はどこで作られるか。
立法府で作られる。
立法府は国民が選んだ国会議員で構成される。
このような改正はつまりは国民の信託を得たものであることになる。
だれがこんな信託を与えたのか。
私はこのような信託は与えていない。大反対である。
多くの女性有権者の意見を聞きたいものです。
残念。

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