軍需工場の職工さんが川の流れのよう…好景気に沸く躍進太田の街角発…地方記者の原稿録②   

「地方記者の原稿録」シリーズは、一朝日新聞地方記者が、送稿続けた戦前:戦中:戦後の地方発ニュ-ス原稿を今あらためて読み直し、平和を願い平和を壊され、しかし確実に生きていく地方の市民生活の一コマを少しでも窺うことが出来ればと発信するものです。

1、昭和11年~16年 群馬県太田通信部時代 


第2話 昭和13年12月  月額300百円の収入
                  時めく中島の職工さん  さてボーナス景気は


記事

師走の声を聞くと誰しも気になるのはボーナス、そこで今を時めく中島飛行機太田製作所を打信してみる。
社員30割、準社員日給の13日分というのが基本で、社員は業績で多少の上下がある。
準社員は勤務年数で差がある。所長はじめ重役のボーナスは天井知らずの額であることは間違いない。

職工さんでも仕事によって日給の他に「儲け」というのが付いて、徹夜でがんばり手当てがかさんで最高600円にもなった方もいる。月平均300円の収入を得ているのが取り頭。これは社員のボーナス額よりはるかにすごい。
この大盤振る舞いは28日俸給日に一緒に渡される。
本年度は全従業員が馬力をかけて奮闘しており例年よりはるかに多く平職工から社員に昇格するものも相当あるとのこと。
  …記事には「花形、中島飛行機の女工さん ボーナス奮発」の写真付き


第3話 昭和14年  配給日に売れきれ   躍進太田の紫煙景気

記事
太田町で売られるタバコについて、太田煙草販売所の統計を見る。
これは驚き…最高が中島飛行場内売店で26、646円、2位は2丁目の小堀商店18、224円、最低でも人口3万人位の市の最高とほぼ同額であった。1店平均5,514円。
こんな売りあげ平均額は全国余りないという。

最近では配給日にはほとんど売れきれてしまう凄まじさで、まごまごしてるタバコ好きはありつけないありさま。まさにタバコ飢饉。そこで販売所では3割3部の増買を見込み、総売上高
71万円計画をたて、各品種の増配方苦心しているとのこと。

一番売れるのはバットで4割1分、2位は朝日、1割2厘。品不足は響、なでしこ、みのりなどである。県下販売実績23位から一躍5位に躍進した。


当時東武線太田駅前にあったふたば写真館さんの話

…軍需工場中島飛行機太田工場に勤務する社員、職工の朝夕の通勤ラッシュはものすごいものだった…
東武線太田駅から中島飛行場工場まで20分程度だが、駅前に当時あった「ふたば写真館」の関係者の話によれば、職工さんの通勤の列が川のようで横切ることが出来なかった。

職工さん目当ての下宿を部屋が空いている家は皆始めた。隣も隣も下宿屋さんになったそう。それでも数ヶ月は待たされ、職工さん以外では一軒家も下宿も相手にされなかった状態だった。ふたば写真館も職工さんや社員の顔写真撮影で大繁盛になった。


のどかで平和な上州のある町がかくも変貌したのである。戦争の陰は忍び込んでくるが、軍需産業が立地した町、陸軍の基地、兵舎が置かれた町はこの時期日本全国で活性化、経済活動の興隆が顕著であったのも事実である。

昭和13年主な出来事
3月 ドイツ、オーストリア併合
4月 国家総動員法公布

昭和14年主な出来事
1月 双葉山69連勝でストップ
9月 第二次世界大戦


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