会社とのトラブル…組合がないので個人としてどのような解決方法があるのか。社会保障相談室⑨
質問
会社とのトラブルが発生してしまいました。…組合はありませんので個人としてどのような解決方法があるのでしょうか。
回答
労働紛争には個別的労働紛争と集団的労使紛争の2タイプがあります。
労働法の世界では、使用者、従業員とともにもう一つの当事者として労働組合があります。
つい最近まで労使紛争と言えば、この労働組合が主役になっていた集団的労使紛争のことを示していました。しかし今、正規社員が激減し、非正規社員が増加している中、労働組合の組織率も激減し、不安定な労働環境にいる従業員の不安、不満は高まり、結果的に個別労働紛争が増加している状況です。
裁判がそのような紛争を解決する一番重厚な手段でしょうが、より簡易に解決を図るインフラの整備が急務となっています。
注目を集めている手段にADRがあります。
裁判外紛争解決手段の意味を持ち、弁護士が仲裁人を努める民間タイプと、個別労働紛争解決促進法による斡旋、労働委員会の個別労働紛争斡旋の法的行政によるADRがあります。
都道府県の労働局が主体になる個別労働紛争解決法は、労働局が指名した斡旋委員が両者の言い分を訊き、話し合い、斡旋案を提示し説得に当たります。欠点はワンストップ型で1日で解決を目指す点、早期を狙うので話し合い不調も多いようです。
労働委員会の個別紛争解決は、本来は集団的労使紛争解決の場ですが、個別の方も行うようになりました。
以上は行政型解決手段です。これに反し本来の担当である司法が機能した制度が労働審判です。
◎解決を委ねる紛争解決処理機関には下記のような機関が存在します。
①裁判所=司法
②労働基準監督署(国)=行政
③労政主管事務所及び労働センター(県)=行政
④都道府県労働局(国)=行政
⑤弁護士仲裁センター=民間
⑥企業内紛争解決機関
◎紛争処理は次の3通りに分類されます。
1公的機関の判断に基づく強制力を伴う処理方法
2公的機関による当事者の合意を前提とした処理方法
3私的機関による当事者の合意を前提にした処理方法
これらのうち2番目の公的機関による当事者同士合意方式が最良なのは
事明である。紛争解決後の労使関係に配慮しなければならないからで
ある。そして合意を担保するためにも公的機関の方が望ましい訳である。
◎社会保険労務士の役目
社会保険労務士は私的機関ですが国家資格を持つ準公的存在です。
社会保険労務士資格は労働法を専門とする唯一の国家資格です。
労働紛争解決のサポートをいたします。
労働者の立場にたって様々な解決策を提案実践いたします。
【労使問題関連法制度最新情報】
☆ 平成18年4月から労働審判制度が導入されました
会社と労働者個人の間の紛争を迅速且つ簡便に解決する労働審判
制度が平成18年4月から始動した。
最大3回の審理で終了するため裁判より敷居が低く、
これまで泣き寝入りしていた労働者の権利を守る新たな
法的手段として期待が高まっている。
地方裁判所に持ちこまれた労働関係の民事訴訟の平均審
理期間は11月程度。
一般の勤労者にとって時間的に
も金額的にも負担は大きい。新制度の労働審判では長く
ても4月位で審判が出る。
裁判官、労使審判員2名の計3名による労働審判委員会で審理されるもの。
審判に異議
がある場合は地裁での民事訴訟に移行する。
限られた人々が担ってきた法律界が社会に広がり、職場の実情を知る現
場サイドの知恵が審理に生かされることを願いたい。
☆ 社会保険労務士法が改正され個別労働関係紛争におけるA
DR代理業務を行うことが出来るようになりました。また労働争議
不介入の規定が削除となりました。
男女雇用機会均等法に基づく調停の手続き、個別労働関係紛争の関して都道
府県労働委員会が行うあっせんの手続き及び個別労働関係紛争に関して厚生労
働省が指定する団体が行う民間紛争解決手続きについてそれぞれ代理すること
が出来ることとなりました。
なお紛争解決手続き代理業務に係る研修を終了し
た者に試験を実施し合格者に限り紛争解決手続き業務を行うことが出きるとさ
れました。平成17年6月17日社会保険労務士法の一部を改正する法律公布
☆ 労働契約法の動き
パートや派遣社員が増える一方、労働組合に属さない人も増加し、解雇な
ど巡る企業とのトラブルが急増している。こうした時代を踏まえ厚生労働省は
労働法制の見直しを進めているが、雇用契約に基本ルールを明確にするために
新たに労働契約法の制定を進めている。採用から退職までの権利義務を規定。
同時に労動基準法など労働時間法制の一体的改正を目指している。時間外労働
の時間単価割増率下限を25%から50%に引き上げ、長時間労働を是正し仕
事と育児の両立できる環境整備も促す狙いという。経済界、労働界から反発と
対立も予想され難産は必須だ。
質問について、今回はおおまかなシステムを解説しました。
次回は調停の勧めと、調停と審判の相違等詳細編を予定しています。
先の国会は労働国会のはずでしたが、年金記録騒動に追いやられ、いくつかの労働問題解決に向けた法案が見送られてしまいました。
成立した労働法案と見送られた労働契約法案等についても順次概要を紹介したいと思います。労使トラブル発生しない環境づくりこそ経済活性化の起爆剤ですから。
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http://jobranking.net/44/ranklink.cgi?id=1346
会社とのトラブルが発生してしまいました。…組合はありませんので個人としてどのような解決方法があるのでしょうか。
回答
労働紛争には個別的労働紛争と集団的労使紛争の2タイプがあります。
労働法の世界では、使用者、従業員とともにもう一つの当事者として労働組合があります。
つい最近まで労使紛争と言えば、この労働組合が主役になっていた集団的労使紛争のことを示していました。しかし今、正規社員が激減し、非正規社員が増加している中、労働組合の組織率も激減し、不安定な労働環境にいる従業員の不安、不満は高まり、結果的に個別労働紛争が増加している状況です。
裁判がそのような紛争を解決する一番重厚な手段でしょうが、より簡易に解決を図るインフラの整備が急務となっています。
注目を集めている手段にADRがあります。
裁判外紛争解決手段の意味を持ち、弁護士が仲裁人を努める民間タイプと、個別労働紛争解決促進法による斡旋、労働委員会の個別労働紛争斡旋の法的行政によるADRがあります。
都道府県の労働局が主体になる個別労働紛争解決法は、労働局が指名した斡旋委員が両者の言い分を訊き、話し合い、斡旋案を提示し説得に当たります。欠点はワンストップ型で1日で解決を目指す点、早期を狙うので話し合い不調も多いようです。
労働委員会の個別紛争解決は、本来は集団的労使紛争解決の場ですが、個別の方も行うようになりました。
以上は行政型解決手段です。これに反し本来の担当である司法が機能した制度が労働審判です。
◎解決を委ねる紛争解決処理機関には下記のような機関が存在します。
①裁判所=司法
②労働基準監督署(国)=行政
③労政主管事務所及び労働センター(県)=行政
④都道府県労働局(国)=行政
⑤弁護士仲裁センター=民間
⑥企業内紛争解決機関
◎紛争処理は次の3通りに分類されます。
1公的機関の判断に基づく強制力を伴う処理方法
2公的機関による当事者の合意を前提とした処理方法
3私的機関による当事者の合意を前提にした処理方法
これらのうち2番目の公的機関による当事者同士合意方式が最良なのは
事明である。紛争解決後の労使関係に配慮しなければならないからで
ある。そして合意を担保するためにも公的機関の方が望ましい訳である。
◎社会保険労務士の役目
社会保険労務士は私的機関ですが国家資格を持つ準公的存在です。
社会保険労務士資格は労働法を専門とする唯一の国家資格です。
労働紛争解決のサポートをいたします。
労働者の立場にたって様々な解決策を提案実践いたします。
【労使問題関連法制度最新情報】
☆ 平成18年4月から労働審判制度が導入されました
会社と労働者個人の間の紛争を迅速且つ簡便に解決する労働審判
制度が平成18年4月から始動した。
最大3回の審理で終了するため裁判より敷居が低く、
これまで泣き寝入りしていた労働者の権利を守る新たな
法的手段として期待が高まっている。
地方裁判所に持ちこまれた労働関係の民事訴訟の平均審
理期間は11月程度。
一般の勤労者にとって時間的に
も金額的にも負担は大きい。新制度の労働審判では長く
ても4月位で審判が出る。
裁判官、労使審判員2名の計3名による労働審判委員会で審理されるもの。
審判に異議
がある場合は地裁での民事訴訟に移行する。
限られた人々が担ってきた法律界が社会に広がり、職場の実情を知る現
場サイドの知恵が審理に生かされることを願いたい。
☆ 社会保険労務士法が改正され個別労働関係紛争におけるA
DR代理業務を行うことが出来るようになりました。また労働争議
不介入の規定が削除となりました。
男女雇用機会均等法に基づく調停の手続き、個別労働関係紛争の関して都道
府県労働委員会が行うあっせんの手続き及び個別労働関係紛争に関して厚生労
働省が指定する団体が行う民間紛争解決手続きについてそれぞれ代理すること
が出来ることとなりました。
なお紛争解決手続き代理業務に係る研修を終了し
た者に試験を実施し合格者に限り紛争解決手続き業務を行うことが出きるとさ
れました。平成17年6月17日社会保険労務士法の一部を改正する法律公布
☆ 労働契約法の動き
パートや派遣社員が増える一方、労働組合に属さない人も増加し、解雇な
ど巡る企業とのトラブルが急増している。こうした時代を踏まえ厚生労働省は
労働法制の見直しを進めているが、雇用契約に基本ルールを明確にするために
新たに労働契約法の制定を進めている。採用から退職までの権利義務を規定。
同時に労動基準法など労働時間法制の一体的改正を目指している。時間外労働
の時間単価割増率下限を25%から50%に引き上げ、長時間労働を是正し仕
事と育児の両立できる環境整備も促す狙いという。経済界、労働界から反発と
対立も予想され難産は必須だ。
質問について、今回はおおまかなシステムを解説しました。
次回は調停の勧めと、調停と審判の相違等詳細編を予定しています。
先の国会は労働国会のはずでしたが、年金記録騒動に追いやられ、いくつかの労働問題解決に向けた法案が見送られてしまいました。
成立した労働法案と見送られた労働契約法案等についても順次概要を紹介したいと思います。労使トラブル発生しない環境づくりこそ経済活性化の起爆剤ですから。
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