もっぱら出張とか請負を利用し経費安価に従業員を雇用したいが……社会保障相談室⑧

質問

開業して間もないサービス業です。事業充実には戦力強化は必要で、従業員を雇い入れたい。しかし賃金の他各種保険料まで考えると支払い能力に問題があり苦しい。すこしでも省力化した雇用形態を模索している。「もっぱら出張」や「請負」、「派遣」、「契約」、「パート」なども利点問題点を教えて欲しい。

回答

コストを削減しつつ利益を向上させることは事業者なら永遠の課題でしょう。
財界トップの経営する世界的大企業でさえ先の国会で問題視されるなどギリギリのところで雇用対策と利益のはざまの攻防が繰り広げられています。
まして零細や小企業では事業主さんが額の汗して働きながら頭を悩ますところでしょう。

以下雇用形態と最近の情勢を勘案しての利点、問題点を列挙しますので参考頂ければ幸いです。ぜひ事業主も喜び、従業員も喜ぶ雇用を確保してください。それが起業の初心、出発点ではありませんか。

パート:アルバイト

通常の労働者と同じく労働基準法上の権利が発生しますので注意。労災保険は必需です。
たとえば有給休暇
週4日勤務者は6月後7日取得させる。3日勤務で5日、2日勤務で3日
労働基準法ばかりでなく労働安全法、労災保険法、パートタイム労働法の遵守が必要です。
従ってパート単独の就業規則も常時10人を正規と合わせ超える場合は必置となります。

パートとアルバイトの違い
アルバイトはごく短期間の雇用であるが、パートタイマーは一定期間継続する雇用契約です。
アルバイトは契約期間終了すれば特に更新はありません、しかしパートタイマーは契約更新が予定されることも多い。パートタイマー出身の星として吉野家の安部 修仁社長さんやブックオフの橋本真由美会長さんの例があります。お二人のたたき上げからの苦労と立身出世物語は機会あれば特集したいものです。

擬似パート
所定労働時間が正規職員と変わらず、雇用期間が比較的短期間の定めがある雇用形態もあります。こらが擬似パートと呼ばれるものです。
このような形態(正規と同様業務:異なる賃金等の条件)も判例では法に違反しない限り認められています。ただし労働基準法37条などの割り増し賃金など法が適用されます。
2月を超え継続雇用された場合は雇用保険にも加入しなければなりません。もちろん労災適用です。
同じ業務を正規5人で7時間労働=パート7人で5時間、これは大きな節約になります。我々のビジネスの戦術でもありますが…。
必要なとき、必要なだけ…この辺は派遣と似た雇用形態と言えましょう。

メリット:デメリット

人件費抑制効果大
逆に仕事への意識、モチベーションに疑問



派遣


労働者派遣法により派遣対象業務が定まっています。最新では製造業も対象になりかなり一般化され来たところです。
労働基準法は派遣元の使用者が責任者となります。
派遣先つまり貴事業所では、労働時間、休憩「休日、公民権行使、育児時間等の責任を負います。
派遣元と派遣先事業所同士の契約となり、賃金は派遣元が支払います。
派遣先から派遣労働者は指揮命令を受けますが、あくまで労働関係は派遣元となります。
業務量が多い時派遣受け入れ、減ってきたら派遣を終了させることが可能で戦略的と言えるでしょう。
労働者側でも自分の専門技術など必要性を買われての派遣を望むとか家庭事情のある主婦などもこの形態を望む方もいられるでしょう。
ポジティブリストも(法上認められている業務)格段に広がって来ました。
大企業でも、自社で派遣会社を設立し、全員を親会社に派遣させるというスタイルを採用している例も見られます。
しかしこのような企業は、利益優先の権化であり、企業の持つ社会的意味を失っているとしか言えません。法の趣旨と違うところに走っています。決して国民が望む優良な製品を創造する地域から尊敬される企業とはなり得ないでしょう。

逆に優秀な労働者として派遣先から直接雇用されることもあります。
労働者派遣法33条1項は、このような際、労働者が自由に選択出来るよう定めています。
「派遣労働者が、雇用期間を終了した後、派遣先企業に雇用されることを禁ずる契約を派遣企業は派遣労働者との間で定めてはならない」

メリット:デメリット
即戦力を即座に活用
雇用管理負担の大幅軽減
労務管理コスト軽減
専門的業務に対応
逆に受け入れ期間の制限がデメイット

契約:請負

専門知識、技術など有する者を契約し雇用する形態も増加しています。
このような場合は、使用者の指揮命令におかれていますので、雇用契約が結ばれ、労働法規は当然適用されます。

契約の形態には業務そのものの遂行を委託する形態もあります。これが業務委託:請負です。
請負事業とは、民法上、仕事の完成を目的とするものであって、その成果について報酬の支払い義務が生じるものであり、請負契約は、請負元が自社の社員に対して、請負事業の指揮命令をするものです。

業務委託契約=民法上の請負契約(632条)や委任契約(643条)に当たります。
使用者と労働者の関係でなくなり労働法規の適用がなくなります。


私は会社員になるつもりだった、ところが知らないうちに「事業主」として
の契約をしていた、等とならないように、契約の種類を良く確認してから契
約を結ぶようにしましょう。

事業主にとって、従業員と労働契約を結ばずに請負契約にすることの最大のメリットは、労働基準法の適用を受けないことです。また、労働・社会保険の保険料も支払う必要はありません。
労働者にとっては、これれが逆にデメリットになるわけです。

最近、使用者が雇用リスクを避けるために、労働者として雇わず、請負として契約しているケースが増えています。個人と請負や業務委託と称する契約を結んだとしても、会社がその者を指揮命令して労務に服させているなど使用従属労働を行わせている場合には、労働契約とみなされることもあります。

しかし業務委託契約の形式だけとり、実質使用従属関係が見られるような場合は、実質的に判断され、労働法の適用も避けられなくなります。
厳格に見ていくと、請負事業といいながら、労働者派遣事業といわざるをえない事業は少なくないと思われます。偽装請負といわれるのではなく、請負事業と判断されるためには、次のすべてを満たさなければならないと規定されています。

①指揮監督下にあるか
②依頼を労働者が拒否出来るか。
③内容、方法に対し指揮命令はあるか
④勤務場所、勤務時間が決められているか
⑤労務提供を他の者が出来るか
⑥報酬が時間で計算、労働の結果に左右されないか
⑦残業手当有無、欠勤控除有無
以上のような判断基準により雇用契約か業務委託かを判断します。

そもそも、請負契約・業務委託契約は労働契約・雇用契約ではないため、労働基準法が適用されない。偽装が巧妙化されていたり、労働者が知らぬ間に請負・委託契約という形態で労働させられていた場合、偽装請負であるという立証も難しい。そのため、労働基準監督署において「労働者として認められない」という事態も起こっている。
また、多くの場合2ヶ月毎の契約更新のような形をとっているため、将来の保証が全くない。

派遣社員は、受け入れ企業にも、一定期間過ぎたら直接雇用につなげる責任義務も定められています。これを逃れるための偽装請負、請負を派遣と偽る事案が多く見られ、報道特集もされたところです。
経団連会長の超大企業ばかりでなく、宅急便業界でもはたちの悪いイケースの立て篭もり報復事件なども発生し、最近では大学経営現場などにも偽装請負が広がっております。
2007年労働局の適正化キャンペーン標語は、「いま一度、その請負を 自主点検」となりました。
キャノンで働く請負労働者がリードし、製造業の非正規労働者のための全国規模の労働組合も結成されました。
規制緩和もけっこうだが、人材を軽視すると、日本の強み、根本である「ものづくり」能力が劣化することも避けられない。

契約のメリット:デメリット
即戦力人材を最適なタイミングで確保
必要な時必要な人材を必要な期間可能
専門業務対応


請負のメリット:デメリット
社内食堂やメンテナンスなど、事業所内で非効率な部分、本来業務以外部分を専門業務請負会社へ委託することで、コスト削減や本来のコア業務へ全精力を集中できる。

ケーススタディ:もっぱら出張のXさんはA社に雇用されるか

もっぱら出張のみによって施術業務を営業していたXさんを質問者のA社は雇用したい。
しかし労働関係はない、出張をA社で行う方式を提案した。場所貸しのスタイルである。
このような場合の双方のメリット:デメリット、法的問題は以下考えられます。

メリット
A社=場所貸し、レンタル料が入る。労働保険関係の加入が不用である。
Xさん=安定した営業拠点が確保出来る:実質的に安定収入が入る

デメリット
A社=実力あるXさんとしたらいつ契約廃棄されるか不安定
    実際は雇用関係にある恐れ(指揮命令:使用隷属);法令順守疑問
Xさん=せっかく出張という差別化した営業により得意先あったのに特色ない営業に
    社会保険労働保険なく将来性に不安

法的問題点

現実的にA社はXさんを雇用出来るか疑問。実力主義のXさん営業がただの使用人になることをXさんは受容するか。よほど良い条件が必要でしょう。
外見上場所貸しでも、実態は使用人である。専門技術ある職人を雇用することになり、労働関係発生し、法令順守が望まれます。
サービス業は、他に例を見ない差別化したサービス資質を高めることで勝負する見込型事業の典型です。
これだ!という商品で勝負することが肝要です。それには投資が必要であり、労働条件環境は最低限の武器になります。戦うには兵士優秀な兵士が必要です。
コスト削減も必要です。ここは従業員を雇用する計画を再点検し、数値的な見直し、戦略見直しをしてみたらどうでしょう。余力があれば正規に雇用を考え、長い目で成長を志向したいものです。
 
ブログランキング
http://jobranking.net/44/ranklink.cgi?id=1346

もっぱら出張のみによって施術業務を
開始する場合の手続きの概要です。参考まで

出張施術業務開始届
添付書類
施術者の免許証の写し
※原本照合を行いますので、本証をお持ちください。
注意事項
開始届の用紙は保健所にあります。
提出書類は2部作成してください。
開始届は、業務開始後10日以内に提出してください




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