年金問題の本命…08年から厚労省が積立金150兆円を市場で運用開始  「年金2008年問題」を読んで

年金記録のずさんな仕事振り、免除制度悪用による納付率偽装、グリーンピアやゴルフ練習場の無駄遣い等々で国民の信頼を揺るがせてしまった厚生労働省社会保険庁。
その厚生労働省に、いよいよ2008年から、国民の大事な年金のために積立てた150兆円をお任せし、株式等金融市場に投資いただくことになるのが年金2008年問題である。



日本経済新聞社発刊   玉木伸介著   「年金問題2008年問題」を読んで

第1章 知られざる年金 20008年問題
150兆円の年金積立金については、財政投融資資金として現在財務省に預けられている。
しかし財政投資改革により公的年金の旧大蔵省資金運用部に全額預託される制度が廃止され、2008年から厚生労働省に戻され、厚生労働省がこの150兆円を金融・資本市場で全面的に運用することになった
株式運用などは、厚生労働省及び独立行政法人の責任で行われる。
今までの財政投融資運用は国会の議決を経てきたが、これからの積立金運用はそのようなガバナンスの手続きは簡易となる。
それだけに厚生労働省、独立行政法人の運用判断の拠り所を明確にすることが求められる。

米国の公的年金は多くの議論の末、株式運用を見送っている。150兆円が参入する株式市場の影響はどうであろうか。市場機能の規制当局自身が今度は自ら利益を求めて動き回るのである。これは例のないことになる。なにしろ日本最大の株主となるかもしれないのである。

年金制度については賦課方式であり理解と信頼が生命線、この信頼が今大きく揺らいでいる。その当事者に本当の年金積立金を委ねるという事態に遭遇するのである。
年金記録も重要である、免除制度も大切な問題でしょう、しかしこの積立金を株式運用する2008年問題はもっと議論して、いやしなければいけない問題ではないでしょうか。

第2章 財政投融資改革の死角

1998年成立の「中央省庁等改革基本法案」:2000年成立の「資金運用部資金法等の一部を改正する法律」によって郵便貯金や年金積立金の全額が資金運用部に預託する制度の廃止が決まった。
今までの資金運用部への預託の場合、資金が財投に使用され、それがたとえばいくら不良債権の山を築いても、資金運用部は年金特別会計に返済する義務に何の影響のなかった。いわば安全弁の役割を国がしっかり保障していたのである。しかしこれからは違う。
株式の下落、円高、金利上昇など様々なリスクに直面し、これから逃れることは出来ない。
収益もあげるだろうが、大幅な変動は避けがたい。このことの国民への理解を得る必要があるだろう。
「厚生労働省は金融をしっかり勉強してますので運用をまかせてください、必要に応じ専門家を使い儲けて見せます。皆さん安心していてください。」これでは丁寧な説明と理解にはならないだろう。運用の目的、障害、克服手段方策、首尾一環した説明が必要である。

第3章  公的年金への誤解を解く

公的年金は賦課方式。保険料をあなたが支払うのはあなた自身の老後のためではない。現役勤労者が高齢者を扶養するための移転の制度である。いわばリアルタイムで現役世代は高齢者へ必要な財源を賦課しているのである。
勤労世代から高齢者へ富を移す。このゼロサムの原理で動いている。
老いた両親にお金をかければ今の自分にあまりお金をかけられないくなる。家計の方程式と同じである。この認識が超長期の積立金金運用の制度構築の出発点。
高齢者が生きていくための3つの方法。
1、子による扶養
2、資産運用(自助努力)
3、国による財の移転=公的年金制度:生活保護制度:各種手当て

以下第4章、第5章では積立金の性格につい解説が続き、第6章から諸外国の積立金運用の仔細が報告されている。

株式は多くの被保険者個人も運用している。儲けた方もいれば反対の損をした方も同じ数いる。国により運用すれば国が得した分、その数分損した被保険者も出ることにもなる。損と得:勝者と敗者が同数出る勝負の場が市場である。年金への不信感が増さないようにもしなければならない。
国内より海外の方が運用益を取れるといって、年金資金が海外に出て、海外企業、国債に運用されるのを、国民はどう反応するだろうか。海外を強くするために自身の積立金が運用されるのに果たして国民は満足するであろうか。著者の強い危惧に同感であるのは私だけではないだろう。

危機の中に最大のチャンスはあるという。2008年問題はそれにしても余りにも国民が承知していない問題でもあるだろう。もっと議論が必要ではないだろうか。


http://jobranking.net/44/ranklink.cgi?id=1346



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